【会員企業の取り組み事例withコロナ】「生涯、喜びを持って学び続ける人間を育てる」を理念に据え、深化し続ける会社
スフィンクス(株) 代表取締役 青沼 隆氏(浦安支部)
40年前に浦安の地で学習塾を始めた青沼氏。人の「学ぶ意欲」に寄り添い「放課後等デイサービス」「児童発達支援」「通信制高校」「フリースクール」「訪問看護」まで手がけるグループ会社へと発展させていきました。そのグループの1つにスフィンクス(株)があり、代表取締役兼グループ代表を務める青沼氏を今回訪問しました。
上部・下部構造の学習支援
学習塾「伸栄学習会」の創業は1980年。「浦安で一番の歴史があって実績豊富な塾」と青沼代表は胸を張ります。塾では一般の小・中・高校生を対象にした学習支援を行っていますが、上部・下部構造の学習支援が特徴的です。上部とは算数や国語などを指し、下部は学習するための基礎的能力を指します。ここでいう基礎とは読解力や空間認知力や集中力等で、これらを高めるために、教科学習(上部)支援のほかに、「速読・速聴教室」や「ロボット教室」なども開いています。下部を高めることで、上部の学力向上を図っています。
障害を持つ子供にも学びを
社会の理解が進み、国による障害者(児)への支援強化が進む中で「どんな人にも学ぶ権利を」「学び成長することで、社会で働ける道筋をつくりたい」という想いが強くなり、2015年に障害を持つ小・中・高校生を対象とした「放課後等デイサービス」を始めました。「放課後等デイサービス」とは、障害を持つ子を学校の放課後等に預かるサービスで、児童福祉法に位置づけられた支援です。
ここでも、伸栄学習会同様に下部構造を高めることを大事にしており、コミュニケーション、日常生活スキル、運動スキルなどの「社会生活能力」を育てることに力を入れています。伸栄学習会の講師が公認心理師、保育士や社会福祉士などの資格を持ち、支援にあたり、連携して運営を行っている点が特徴的です。
2019年には、通信制高校「松陰高等学校」を開校。不登校や引きこもりの子供に学びの機会を設けたいとの想いからスタートしました。不登校生の中には発達障害を持つ子供も多いと青沼代表は言います。
新規事業・訪問看護に挑戦
障害を持つ子供に学習支援を続けてきましたが、もっと本人に寄り添いたいとの想いから、今年(2023年)、発達障害・精神疾患等を持つ子供を対象にした訪問看護「しんえい」を始めました。訪問看護では、資格をもった看護師や作業療法士などが自宅を訪問して、医療的ケア、心身のケア、発達支援、家族支援等を行います。不登校や引きこもりの子供たちに対して家庭内でサポートしていくと同時に、家庭内暴力をなくし家族もケアしていく取り組みです。
青沼代表は「周囲への認知度がまだまだ低く利用者の確保に課題がある。グループの通信制高校と連携して周知していきたい。また、一定人数の有資格者が運営上必須のサービスなので、人件費との兼ね合いでも利用者を増やして、経営を安定させていきたい。このサービスは社会性と必要性は絶対あると感じているので存続させていきたい」と力強く抱負を話されました。
経営理念「生涯、喜びを持って学び続ける人間を育てる」に沿い、社会から必要とされる支援事業を生み続ける伸栄学習会グループの今後に期待が集まります。
(事務局 牧本)
♦会社概要…事業内容:学習塾、放課後等デイサービス、通信制高校、訪問看護ステーションなど 所在地:浦安市北栄3-33-10 従業員数:80名(内パート・アルバイト45名) 入会年:2021年