【輝く中小企業の取り組み】ヒーロー職人が社会を変える~ロマンを求めて人が成長できる会社
(同)タヤグラ 代表社員 田櫓 英樹氏(八千代支部)

「将来は宇宙に行ってインターンシップができたらいいよね!」と話す田櫓社長。実際に月面の土地を所有し、ただの夢で終わらせないロマンを叶える経営実践の話を伺いました。
18歳の時から空調設備工事の仕事に就いて技術を磨き、関連業種のできる仕事を増やしながら33歳の時に独立します。当時はバブル期で景気が悪くなっていく時代だったため、周りからは独立を反対されましたが、経営者として挑戦したいという思いで独立を決意します。

業界の不安定さと限界への気付き
確かな技術と広い繋がりはしっかり持っていたため、売上はどんどん拡大し、困った時の田櫓さんと言われるような存在になっていました。しかし、親方一人でできることには限度があります。建設業自体が元請け次第で景気が左右される不安定な業界です。すごい技術を持った親方は沢山いるのに多くが報われにくい環境があると。そうした業界に危機感を持ち、親方がもっと経営の能力を身に着けて人間的に成長しないといけないと考えるようになりました。
今の職人のイメージは決していいものではありません、現場主義でワガママを言って管理者を困らせてしまうこともあります。そうではなく、職人も経営の目線を持ちながら互いに尊重し合ってチームとして価値を生み出せるような存在にしたい。それを会社として作っていきたいと考えて組織づくりを進めました。最初は誰にも共感してもらえなかったそうですが、想いをひたらすら伝えることを続け少しずつ一緒になってくれる仲間が増えてきました。
次世代につなげる~大人の輝く姿を見せる
そうした方針でスタートしますが、田櫓氏自身も数字やデータを読むことは得意ではありませんでした。しかし面倒と思っては成長できないと考え、中小企業診断士などに協力してもらいながら、数字のことも経営のこともみんなで勉強したそうです。元々親方一人一人は確かな技術があって、その一流の職人が経営の目線を持ってチームを組んだことで、会社として対応できる幅も質も大きく広がりました。
地域との関わりとして、地元の農家と連携したマルシェ活動をしており、自社で開発したリアカーゴ(移動式マーケットリヤカー)を使って応援しています。またインターンシップ活動にも積極的に協力しており、自社のエアコンや設備の取り換えなどの社内環境設備の仕事を用意しておいて、学生が本格的な仕事を体験できるようにしているそうです。こうした活動はやはり親方一人でできることでなく、寧ろ子供たちより教えている親方たちの方がキラキラしているとのこと。高校生に職人のカッコ良さを伝えて次世代につなげていきたいと話します。
ロマンを求めてワクワクできる会社に
経営のなかで意識してきたことを聞くと、ロマンを求められる社風を作ってきたと話します。何か問題があった時に、それを「問題」とするのか「課題」として認識するのかは経営者の考え方次第です。それを会社の未来を見据えながら課題としてどう乗り越えるかワクワクできるように心掛けているとのこと。社員がみなそうした意識付けができるように、みなが考え方を勉強し、会社のことを理解し、ビジョンを共有することに力を入れていました。そうした人づくりのノウハウを外部に発信するものとして研修事業部を立ち上げており、田櫓氏本人がプロ講師として研修をして業界の職人の価値向上も図っています。
田櫓氏は技術力と人間力の高い職人を「ヒーロー職人」と呼んでいます。人々の生活を守り、信頼に応える高い技術と精神力を持っている。そんなヒーローが集まって社会を良くしていきたいと強い想いを語っていただきました。
(事務局 道山)
♦会社概要…事業内容:各種施設空調工事、一般住宅マンション等外構工事、スポーツ企画 所在地:(千葉北事業所)千葉市稲毛区長沼原町564-2 資本金:500万円 従業員数:6名(うちパートアルバイト1名)入会年:2015年
