【輝く中小企業の取り組み】既存の概念を壊し、新しい価値を模索し続けるお花屋さんの挑戦~“RE:”に込めた再構築への思い~

(株)Re:flower 代表取締役 加藤 久弥 氏(東葛支部)

加藤 久弥氏

生ける責任と向き合う

 近年都市開発が進んでいる「柏の葉」。駅から15分程歩いたところに彩り鮮やかな花屋「Re:flower」があります。代表である加藤氏は店舗運営をする傍ら、空間を彩るフラワーアレンジメント装飾をイベントや企業に提供しています。

 店舗の入ってすぐの正面には季節の花々を中心に、目を奪われるディスプレイがされています。「私たちは一度花を摘み取っていて、それをまた生きた花のように“生ける”責任があります。同時に空間あってのアートであり、空間を損なわないことを意識しています。それは店舗もイベント装飾も変わりません。向きで表情が変わる花だからこそ、一つ一つ真剣に向き合っています。」と同氏は話します。

業界の概念を疑い続ける

 「生け込み」と呼ばれるアレンジメント装飾は企業イメージに深く影響します。それぞれの企業が与えたい印象によって異なる装飾を加えることで、見手に信頼感や非日常感を与えることができ、旅館やディーラー、企業の玄関口等で重宝されています。例えば京都の老舗旅館では木に花を生ける装飾が採用され、宿泊者の視覚を大いに楽しませています。他にも竹を土台とした花束も制作され、今までの概念を覆す表現方法として業界の度肝を抜きました。

 そのようなアーティスティックな面があるからこそ、従業員へ教え伝えることが難しい面があると言います。感性を磨くには経験と時間が必要であると同時に依頼者に一級品を提供する必要があり、その狭間で揺れることもあると言います。ですが、同氏が手を回せていない仕組みづくりやスケジューリング部分を従業員が担当していて、店舗管理は従業員、装飾等の外仕事を同氏が行うという役割分担ができています。

業界全体の再構築へ

 実家も花屋で幼少期から花に触れていた同氏。某大手ホテルの冠婚葬祭部門等での勤務後、実家に戻ります。経験を積む中で更に10年後を考えたときに、継続性のある仕組みづくりを自身が動けるうちにできることからしたいという思いから独立を決意しました。この継続性は「花屋業界全体」を指しています。花屋業界は経営者の高齢化による廃業が増加している一方で、起業はノウハウや仕入れ先等の人脈も必要になるため、参入難易度は高いと言われています。そのミスマッチを残念に思った同氏は、ゆくゆくは同社を中心に両者がマッチングできるコミュニティーを形成し、業界全体の底上げを目指しています。会社名の「RE:」には「繰り返し足を運んでほしい」という思いの他に、「業界全体の再構築」という意味も込められています。

 なぜそのような考えに至ったかをお聞きすると「もともと自分一人が良ければ良いと考えたことがなく、頑張っている人が報われて皆が幸せになるべきだと考えています。その一つの指標である給与が確保され、手元に自由に使えるお金が増えたら自然と日本経済、日本文化が発展していく。このように循環する仕組みを作っていきたいと思っています。」と話されました。その同氏の飾らない人間性に起因するように、現在も入社したいと入社待ちをしている方がいると言います。

 人の五感を刺激し、快適で特別な空間を追求し続ける同社の成長と発展に大きく期待が高まる取材となりました。

(事務局 関根)

♦会社概要…事業内容:生花・鉢花・花苗の販売 所在地:柏市正連寺394-11 柏の葉キャンパス133 街区C102 資本金:300万円 従業員数:8名(うちパートアルバイト6名) 入会年:2024年

  

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