【輝く中小企業の取り組み】省エネ大賞の信用性と使命感をもって突き進む~31年の蓄積を実らせるとき
エアマル(株)
代表取締役会長 西村 直人氏
代表取締役社長 西村 裕二氏(船橋東支部)







特許技術を強みに
工場の冷凍・空調機の洗浄、省エネ計測を中心に、省エネ事業を行っているエアマル(株)。今から31年前に現会長が、「廃液無公害工法」というエアコン洗浄工法を考案して、日本で最初のエアコン洗浄に関する特許を取得したのが始まりです。
同社の洗浄剤は、特許取得の「ケミカルマイクロバブル®洗浄剤」です。化学的に微細な気泡を生み出します。洗浄力が高く、作業者にも、環境にも安全な洗浄剤です。さらに、廃液無公害工法は、化学的に中和処理をする工法なので無害な廃液になり、工場の下水に流せます。

エアコンクリーニング市場では、現在も強アルカリ性の苛性ソーダを使用する業者が多く、環境や人体に有害なため廃液を持ち帰る手間と廃液の処分費が発生します。水質汚濁防止法や下水排出基準といった観点から、使用できない地域もあります。また、強アルカリ性のため空調機自体にも負荷がかかることから、洗浄回数が制限されます。同社の洗浄工法は、作業者に安全で、空調機も傷めずに、自然環境に配慮した洗浄剤で、何回でも繰り返し洗浄する事が出来ます。
創業の経緯~全国の同友会会員を同志に
同社は、現会長が大手電機メーカーの開発部門で研究者として勤めた後、1979年に船橋市に家電販売店を構えたのが始まりです。洗浄事業のきっかけは、1993年頃に清掃業務を中心とする某大手企業が、家庭用エアコンクリーニング事業を始めたことを知り「なぜエアコンを販売している、家電業界が取り組まないのか」と疑問を持ったことでした。そこで廃液無公害工法を考案し、自ら開発をすることを決心しました。その後、1996年にエアコンクリーニングビジネス協会を設立し、全国の同友会会員企業様を対象に協力会社を募りました。青森から沖縄までの142社と連携して、家庭用・業務用のエアコンクリーニングを全国展開しました。その後、家庭用エアコンクリーニング市場は、ハウスクリーニング事業者が参入するようになり、価格競争が激化するようになりました。
自社の転機と環境変化~省エネ大賞を受賞
2004年12月に家電販売店を閉店して、法人を対象にした空調機洗浄事業に専従しますが2~3年は軌道に乗らず不安が積もる日々を送っていました。2007年に現社長が、同友会の経営指針成文化セミナー第14期を受講し、翌年には現会長も受講しました。
セミナー受講中に、初めて施工した食品工場の空調機洗浄に、今後発展する省エネ事業の需要と可能性を感じて、まだ技術的に発展途上である工場分野の空調機洗浄技術の構築と営業を強めていく経営方針を固めました。そこから地道に工場の空調機洗浄、省エネ計測の市場を開拓、洗浄実績と省エネデータを蓄積していきました。
近年のカーボンニュートラル推進の環境問題への国民の意識が高まり、企業も「大量消費・大量生産」という価値観から、空調設備をメンテナンスして長く使う傾向が強まってきました。そういった変化もあり、経済産業省が後援している「省エネ大賞2024」で「省エネルギーセンター会長賞」を今回受賞されました。(詳細は本誌・裏面の会員トピックスに掲載)
今後の自社の展望~社会的役割と使命感をもって
これからの展望を、現社長は力を込めて「今回の省エネ大賞受賞で、工場の冷凍・空調機の洗浄事業が省エネになると確かな信用性を与えていただき、日本の産業分野の省エネルギー問題解決に取り組んでいるという使命感をより強く持つようになりました。どんなに優れた技術やサービスでも、それに対する社会的役割や意義を組織の皆が共有して、使命感を持って取り組む事が大事です。「省エネ大賞2024」を受賞したビジネスモデル『エアマルプラン』を全国に普及させることがエアマル(株)の使命です」と語りました。
(事務局 牧本)
会社概要…事業内容:工場向け冷凍・空調機の洗浄、省エネ計測サービス 所在地:船橋市金杉6-14-8 資本金:1,200万円 従業員数:1名(協力事業者12社) 入会年:2006年
