【輝く中小企業の取り組み】「テレワーク×障がい者雇用」の普及~誰だって人の役に立ちたいはず…働くことのその先へ~
(株)asokka 代表取締役 倉持 利恵氏(手賀沼支部)
柏市で事業所を構える(株)asokkaは、身体が不自由な方や精神疾患を持っている方などを対象に、在宅での就労移行支援を行っています。また、企業へのコンサルティングやセミナーを通して、在宅での障がい者雇用の普及に努めています。今回は同社の倉持社長にお話を伺いました。
創業のきっかけと社名の由来
以前一般企業に勤めていた同氏は、社内で障がい者雇用を推進する立場にいました。そこでの経験から「働くことの目的は収入を得るためだけでなく、社会に参画して人の役に立つ喜びがあること」を学びました。また社内にテレワークを導入したことがきっかけで、障がい者雇用とテレワークの相乗効果に可能性を見出し、コンサル会社に転職します。さまざまな企業へのコンサルを経て、就労移行支援事業所「テレワーカーズ柏」を開業しました。
社名は、「あ、そっかー!」といった気付きから得られる楽しさや喜びなどを表したもの。今までに経験したことのない気付きや、チャレンジすることが楽しいと思えるといった発見がその後の行動を変えるきっかけになるといいます。誰しもがそういった経験からモチベーションが生まれ、働くことのその先に夢や目標を持つことが大切だと同氏は話します。
「テレワーク×障がい者雇用」の可能性
テレワークであれば、病気や障がいのために通勤が困難な人や地方在住で働く選択肢が少ない人も働けるようになります。在宅でも出来る業務はあまり無いと考えられがちですが、在宅で出来る仕事を切り出すのではなく、仕事のやり方を在宅でも出来るように改善するといった発想の転換が重要です。例えば物流業で管理部門の業務を在宅雇用の障がい者が担っている事例があります。他にも不動産物件の修繕を行っている企業では、HPやSNSを通して自社の取組みを発信する広報業務を担当している事例もあります。どんな事業でもバックオフィス業務はありますので、現場仕事が中心の企業でも在宅雇用の障がい者が力を発揮できるのです。企業においては、障がい者雇用が人材確保や生産性の向上など経営課題解決のカギになります。
利用者と企業をマッチングさせる立場として、注意している点が双方にあるといいます。まず利用者には自分の障がいや病状を伝えられるか。そして、働く上で周りに配慮してほしい点を話せるかといったこと。テレワークはチャット等文字のやりとりが多いため、当事業所では任せられている業務内容や自分の考えを上手く伝える訓練を利用者に行っています。実際の現場よりも厳しく利用者と接しているといい、「自分のことをはっきり伝えないと他人には伝わらない。それが社内におけるチームワークの絶対条件です。これはテレワークに限らず、どんな職場でも通用する社会人としての基礎力を身に着けることを意識しています。甘やかしはダメ」と同氏は語ります。
一方で企業側には、障がい者に在宅で仕事をお願いする程度ではただの業務委託でしかなく、重要なのは「障がい者を従業員として雇用して戦力化しているか、していこうとしているか」だといいます。この先、多様な働き方や多様な人材の雇用を実現しているかが選ばれる会社の基準となり、特に中小企業にはその素質があるとのことでした。
今後の展望と社長の夢
最後に今後の展望を伺いました。「働くことを希望している障がい者にテレワークという働き方をもっと知ってもらいたいし、働くために必要なことを伝えていきたいという想いがあります。また、『テレワーク×障がい者雇用』を経営戦略の一つとして位置付ける企業が増えていくことも期待しています」と語ります。「ただ、この事業が大きくなるということは、社会が変わっていないことの裏返しなので、最終的には事業自体が無くなることが夢ですかね」と笑いまじりに語るお姿が印象深い取材となりました。
(事務局 眞山)
♦会社概要…事業内容:就労移行支援事業・障害者雇用コンサルティング・合気道事業 所在地:柏市新柏3-1-4ルミエールⅡ 1F 従業員数:役員2名、社員4名 入会年:2023年