【輝く中小企業の取り組み】花と人の絆を育む~働きやすさと品質へのこだわりが織りなす未来~
(株)ヤマキ花卉園 代表取締役 山田 桂氏(安房支部)
今回、館山市でひまわりとストックを栽培している山田桂さんに取材に行ってきました。
自然の恵み
館山市の平砂浦海岸近くに位置するヤマキ花卉園は、ひまわりやストックを育てる農園です。この地域特有の砂地の圃場は、海風が長年かけて運んだ砂によって形成されました。この独特な環境は肥料の保持には適しませんが、水はけがよく、ひまわりとストックにとって大きな利点となっています。この土地を活かし、自然と共に生きる農園となっています。
品質への取り組み
ヤマキ花卉園は、土地を活かし高品質な花を育てることにこだわりを持ち、さらに安定出荷・安定品質で計画的に出荷しているためブランドとして認められています。
また、環境負荷の軽減と高品質な花の生産を目指し、MSP(花き産業総合認証プログラム)と日持ち性向上対策品質管理の認証を取得しています。特に出荷時には鮮度を最優先に考え、通常の箱ではなく水の入ったバケツを使用する方法を採用しています。この取り組みによって、花が消費者に届いた時点でも高い品質を保つことができ、顧客からの信頼を得ています。
働きやすさを追求した職場づくり
ヤマキ花卉園では、スタッフが働きやすい環境づくりに力を入れています。残業をなくすために従業員を同業他社より多く採用することで一人一人の負担を軽減し、さらに自由なシフト制や休む際に理由を問わないため休みやすい環境を整えています。現在、20~60代のパートさんが多数活躍しており、勤続3年未満での離職者ゼロ、3年連続で従業員に子供が産まれるなど子育て世代にも働きやすさを象徴する職場環境が実現されています。また、従業員の負担や新人の悩みなどに対して独自のアプローチも特徴的です。本人に聞くと大丈夫との返答が多いため、周囲の方にヒアリングを行い、無理をしていないかを常に気をかけ、そのうえで本人と向き合うという方法を採用し、信頼関係の構築を重視しています。さらに、採用時には山田さんだけでなく、従業員にも参加してもらい、全員で新しいメンバーを迎える準備を整えています。山田さんは、「財産は人である」と語り、人を育てることを何よりも大切にしています。
地域と共に未来を目指して
ヤマキ花卉園は、地域社会とのつながりを重視しながら、持続可能な農業を推進しています。求人は常に出されており、多くの応募者を引き寄せるほど人気の職場です。採用活動においては、新人がスムーズに馴染めるよう、チーム全体でサポート体制を整えています。また、砂地の特性を最大限に活かした花の栽培と人を育てる経営方針を両輪に、未来に向けた成長を続けています。自然の恵みを受けながら、人と共に歩むヤマキ花卉園に目が離せません。
(事務局 市川)
※MPS(花き産業総合認証プログラム):花きの生産業者と流通業者を対象とした、花き業界の総合的な認証システムです。花きの先進国オランダで環境負荷低減プログラムとしてスタートしました。2004年に花き流通業のISOと呼ばれる認証システムFlorimarkと合体、さらに、GrobalG.A.P.のベンチマーク認証となり、鮮度・品質保証、労働環境と認証の幅を広げています。2018年現在、世界45カ国以上、約3,200団体が認証を取得しています。 MPSの最大の特徴は、花きの生産だけで完結せず、流通と一体となって業界全体での双方向的な取り組みが可能である点です。(MPSジャパン(株)ホームページより引用)
♦会社概要…事業内容:花卉類の生産・販売 所在地:館山市坂井498 資本金:500万円 従業員数:パートアルバイト:19名 入会年:2021年