引き継ぐ想い、変えていく仕組み

大和電機(株)　常務取締役　熊田雅弘氏(手賀沼支部)

　手賀大橋を渡ってJR成田線に沿って走り、356号沿いにある大和電機(株)を訪問しました。2F建ての工場に入った第一印象は徹底された整理整頓。床にものを置かず、道具や部品が入ったケースにはラベルが貼ってあり、誰が見てもどこに何があるかわかるような作業場でした。事業内容は既製品では対応できない特注モーターの製造や、廃番となってしまった他社製品モーターの修理対応など。サイズも大小さまざまで、大きいものは男性2人がかり、小さいものはパートの女性が担当していて、手際よくコイルの巻き線挿入作業を行っていました。同業他社は少なく、企業としてやっているところはさらに少なく、同社は関東では2番目の規模になるそうです

　熊田常務が入社した当時のことを伺うと、会議体はなく、回覧もない、納品も誰がどこにいっているのかわからないという状態だったそうです。労働時間や休暇制度についても、中小企業だから仕方ないという認識が社内にはありました。しかし熊田氏はそれに疑問を感じ、社内の構造改革に取り組まれました。まずは週例の会議を設置し工程・納期の確認を徹底しました。また新規顧客の獲得に向け、インターネット広告・HPの整備を行い、売り上げに大きく貢献しました。後になって振り返ってみると、きちんと利益を上げられていたことが社内構造改革に根拠を持たせたと話されました。社内のそれぞれの部署・工程の説明をしていただきながら作業場を回っていると「自分が行っている作業が何を目的としているのか把握して行う」という掲示物を見かけました。各部門が目的意識をもってそれぞれの業務に取り組むスローガンを自分たちで決めているそうです。以前では考えられなかった取組みです。

　最後に社員に対する思いについて伺うと「趣味の資格学習でも、ジム通いでもなんでもいいから、自分に投資をして欲しいです。きっとその体験は仕事にも活きてくるはずだと思います。私は社員に厳しく接することもありますが、それでも折れずについてきてくれます。そんな彼らの生活を守る立場にあるという責任を感じ、私も学び続けています」と話されました。