きっかけは“お風呂に入りたい”という当たり前を実現するために

(株)シルバーとっぷ 代表取締役 外山 慎司氏(千葉中央支部)

 今回は共同求人委員会で新卒採用に取り組まれる外山社長を訪ねました。25歳で起業し現在30年目、福祉用品のレンタル・販売会社を経営されています。

 外山氏が訪問入浴ヘルパーの会社で働いていた時、訪問していたお客様の中に、床ずれがひどく骨が見えるほどの傷になっていて、入浴できない方がいました。床ずれは主に寝たきり状態の時、自らの体重で圧迫され続けた背中等の部分にできてしまいます。そのあまりに酷い状態を放っておけず、後日、偶然広告で目にした『エアマット』という、マット内部に専用の機械で空気を出入りさせることで寝返りに近い効果が出る特殊なベッドマットを、後日自腹で購入してプレゼントしたそうです。1か月後、その方のところに伺うと傷口が回復していて、大変感謝されたとのこと。医者でもない自分がお客様を助けることができたことに感動し「こんなに良い商品なら世に広めたい」と社長に相談するも「訪問入浴会社のウチではできない、どうしてもというなら自分でやってみろ」と言われ、起業を決意されたそうです。

 現在、社員は千葉本社だけで107名。以前は中途採用を中心に行っていましたが、自社の考えに沿って行動してもらうことに難しさを感じ、新卒採用に挑戦して現在13年目。また、会社の強さは個々の社員の能力ではなく、全員が同じ方向を向いているかで決まると考え、理念や行動指針の書かれたクレドを作成。小型のカードにして社員が携帯できるようにしました。作成にあたって、はじめに考えた理念はお客様第一主義でしたが、これでは何かが足りない、と先輩経営者や社員と議論を重ねた結果、スタッフの幸せを追求するという文章が追加され、今の理念となりました。

 経営理念「我々は事業を通してすべての高齢者・障がい者の豊かで充実した生活を創造するとともに、全スタッフとその家族の物心両面の幸せを追求します」

 毎月2時間、社員間でクレドの文章を読み込んで議論する日を設けているそうです。以前は社長自らが解説していましたが、今では先輩社員が後輩社員に内容を伝えることで理念の浸透が深まっています。

「会社がずっと続いていくためには、経営者の人柄や能力だけで経営が左右されてはいけません。このクレドを社員一人ひとりが理解できていれば、会社は永く続いていくことができると思います」そう話す外山社長の、経営にかける情熱を感じることのできた取材となりました。

(事務局 田中)

◆会社概要…所在地:千葉市稲毛区長沼原町653-1 資本金:5000万円 従業員数:107名(うちパート・アルバイト21名) 事業内容:福祉用具の販売・レンタル業

 

 

 

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