【輝く中小企業の取り組み】DX化で残業時間約8割減!~Happyを創りだす制服販売業の挑戦

(株)たむら 代表取締役 田村 誠一郎氏(市川浦安支部)

田村 誠一郎氏

 千葉県松戸市の新京成線「五香駅」の目の前に本社を構える(株)たむら(田村誠一郎代表取締役、千葉同友会会員)。市内の中学校を中心とした制服販売業を営む同社は、1957年に先代である田村氏の父が興しました。設立当初は婦人服やスポーツ用品など衣服関全般を幅広く取り扱い、制服もその中の一つでしたが、現在は制服販売店として県内第1位の売上高を誇っています。

23歳で債務を抱える常務に

 幼いころからたくさんの夢にあふれていた田村氏は大学卒業後、アパレル企業に就職しました。当初は(株)たむらの継承予定者が別におり、承継するつもりはありませんでしたが、予定者が一身上の都合で継承できなくなったことと、経営不振のタイミングが重なり、同社は倒産の危機に立たされます。そこでわずか23歳であった同氏が保証人となり、常務として経営への参画を決意しました。

 その後も苦しいときが続きますが、90年代のエアマックスをはじめとしたスニーカーブームやシルクの靴下ブームの到来で状況が変わります。売り場が限られていたため、店舗販売と同時に通信販売も開始し、好調に売り上げを伸ばしました。

 そして徐々に財政基盤が安定してくると、制服販売に力を入れていきます。すると大型商業施設への出店オファーが舞い込み、2店舗の出店を決断します。人手が足らず、本店も合わせて3店舗をひとりで回し始めますが、無理がたたって倒れてしまいます。その時に感じたことは、余裕がないとお客一人ひとりへの接客が場当たり的になり、逆にミスやクレームが増え、より体力的、精神的負担になるという負のスパイラルでした。その教訓から人を雇い、育て、任せることに努め、現在では計6店舗を運営しています。

業界の常識から飛び出すことで労働環境の整備に

 制服販売業界はまだ慣習が多く残っていると言います。例えば、注文伝票は複写式伝票であるところが多く、書き間違いや記入の手間も生まれます。そこで同社は他社の受注管理システムをカスタマイズして導入しました。すると計算や記入ミスは98%減、発注内容がメーカーに直接発信されるため集計・発注業務も不要。また以前は店舗で行っていた指定ボタンの付け替えや小分け作業も、個別注文が可能になったことでメーカー側に委託することが可能になりました。結果、繁忙期中でも従業員の残業時間の削減につながり、特に店長の中では残業時間を月40時間から月5時間まで削減できた人もいて、自然に社内の雰囲気も良くなっていきました。

 コロナ禍では、来客数の制限が余儀なくされました。同社も採寸来店は完全予約制を導入し、規制が緩和された今でも続けています。回転数が決まってしまうため、経営者視点では惜しく感じるときもありますが、顧客一人ひとりの時間が確保できるため、接客のクオリティが上がったと言います。また昨対比から来客数予測が立てられるようになったため、適切な人員体制を整えられるようになりました。さらに会員登録を必要とするため、顧客情報の蓄積にも役立っています。

「もっと楽に、正確に」が皆を豊かにする

 同氏は更なるDX化を進めるため、社内システムエンジニアを採用しました。その目的は経営理念「お客様と私たちのHappyを創りだす」の達成のためです。「在庫や顧客の一貫管理システムやネットショッピングシステムが上手くかみ合えば、お客様の利便性や信頼度が増すと同時に社員の業務効率化や正確性が増し、全体の豊かさにつながります。最近の技術進歩は目まぐるしく、もしかするとバーチャル店舗などの需要も増すかもしれません。店舗販売の需要が無くなることはありませんが、各個人の〝選択できる自由″を担保していくためにも、引き続きDX化に挑戦していきたいと思います」と話します。

 創造的な行動や取り組みは、多忙な生活を送っていた同氏だからこそ、効率化が与える成果や恩恵を実感しています。長期経営計画に基づいて、田村氏は着実に歩を進めていきます。

(事務局 関根)

♦会社概要…事業内容:学校制服・企業制服の企画、製造、販売 所在地:松戸市金ケ作408-182 資本金:1,000万円 従業員数:69名(うちアルバイト51名) 入会年:1991年

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