【輝く中小企業の取り組み】徹底して地域に寄り添った事業展開で期待に応える

(株)I・Wizard 代表取締役 河野 景氏(かずさ支部)

河野 景氏

独立の経緯

 OA機器の販売・工事などオフィスサポート事業を手がける河野氏にお話を伺うため、木更津市内で経営されているスパイスカレーが評判のカフェ「addition」を訪ねました。

 河野氏が通信業界に飛び込んだのは18歳の時、以来15年間、同業界に身を置いてきました。「独立したのは3年前、30歳の時です。営業で勤めた以前の会社は、ノルマ主義で売ることがすべてでした。お客様のニーズを無視した過剰な設備販売や業界特有のブラックボックスとも言える売値などに疑問を感じていました。この先も今のスタイルで仕事をし続けられるのか、この仕事でやりがいを感じられるのか、自問自答する中で、お客様に寄り添った仕事をしたいという思いから独立を決心しました」と振り返ります。

良き相談相手に恵まれて

 若くしての独立に問題はなかったかも伺うと、「お客様は社員時代から継続してお付き合いいただいた方も居たので問題はなかったのですが、納品先や工事会社探しに苦労しました」とのこと。相談する相手も居ないので、SNSや動画などを駆使して調べものをするなどして乗り切ったそうです。

 そうして、2022年の冬に「addition」が入るテナントのオーナーであり、かずさ支部会員の外山さくら氏に誘われ、入会されました。「同友会の皆さんの誠実な人柄に触れ入会を決めました。経営の物理的部分を学べますし、ディスカッションなど人の話を聞けるのも良いですね」と語り、今では相談相手となる経営者仲間も増え、自社の力になっているそうです。

地域に寄り添うadditionの精神

 通信業界の前に飲食業界に居たという河野氏は、いずれ飲食の仕事もしたいという思いを持っていました。その思いを形にしたのが「addition」です。人一倍カレーにこだわりを持つスタッフの夢でもあった同店を2022年にオープンさせます。「追加、添える」という意味の「addition」という店名には、「地域に新たな価値を『付け足し』、日常にちょっとした彩りを『添える』」という思いが込められています。

 オープン当時はコロナ真っ只中、木更津市内の祭りはすべて中止という中で、河野氏は子どもたちのために何かできないかと考え、子どもたちを集めての縁日や餅つき大会を開催し、大変喜ばれたそうです。「自分自身の体験もあり、特に子どもや女性の社会問題に関心を持っています。仕事を生かして地域のために何ができるか考え、『子ども食堂』など目に見える形で、地域で助けを求めている人に手を差し伸べていきたいと考えています」と話す河野氏、地域に寄り添い、自社にできることで応えていく「addition」の精神が生きています。

地域のニーズに応えて新事業をスタート

 新たに取り組んでいる「葬儀社と遺族をつなぐ」霊柩運送事業については、「葬儀社にとっては当社で遺体安置・管理ができること、遺族にとっても突然の死に際し、病院などその場で葬儀社を決めなくても良くなるなどメリットは大きい。家族葬や直接葬の増加など、葬儀規模も縮小傾向の中でニーズは高まっていくと思います」とのこと。こちらの事業も地域の相談ごとからスタートしています。

 徹底して地域に寄り添った事業を展開する河野氏のこれからに期待が高まっています。

(事務局 逸見)

♦会社概要…事業内容:OA機器販売保守工事、社内LAN整備、キッチンカー、飲食業 所在地:袖ケ浦市奈良輪336 GAULAB302 従業員数:3名(うちパート・アルバイト1名) 入会年:2023年

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