【輝く中小企業の取り組み】柔軟な発想力と技術でお客様のニーズに応え続けるトータルイベンター

（株）エコクラフト　代表取締役　渕 佑介氏（美浜支部）

（株）エコクラフトの目指すもの

　（株）エコクラフトは展示会やステージで使われるアルミトラスの販売レンタル、格闘技リング製作を中心に、イベント設営の全般業務を担っています。企業理念に「1.私たちはトータルイベンターとして社会貢献します。2.私たちは安価で安全なサービスを安定的に提供します。3.私たちはプロの実務者としての矜持と仁徳を持ちます。」と掲げ、細部化しているイベント設営の総合窓口としてトータルコーディネーターとしての役割を果たしています。また誰でもできる作業工程や仕組みを考え、お客様にも一部手伝ってもらうことで人件費を削減し、自治体主催の市民まつりなどの費用を抑えたいお客様の希望に応えています。

　主力商品であるアルミトラスは「312トラス（フランジ材外寸が312mmのボルト連結方式のアルミトラス）」を取り扱っており、丈夫かつ規格の融通が利くことで様々な用途や環境で使用することができることから、行政や研究・教育機関からも問い合わせが増えています。

まずは話を聴き、寄り添うこと

　同氏が大切にしていることの一つは「お客様と寄り添うこと」。依頼に対し「それを使って何がしたいのか」まで深く追求し、より低コスト、高効率の提案を行っています。その結果、同社のアルミトラスが大手ドローン研究所施設に採用されたり、T大学の125周年イベント設営では大手広告代理店Dとのコンペに勝利しました。同氏は「多種分野の知識や培ってきた技術があることにより、お客様の求めるものを実現するために必要なことの優先順位がわかります。手厚くする部分とそうでない部分を真摯に伝えることでコストを削減、マルチタスクをこなせる商品の開発や独自の発想力で効率化を図り、料金の減額につなげています。」と話されました。最近では世界最長自転車のフレームに同社のアルミトラスが選ばれ、話題となりました。

新たな挑戦

　同社の起源となったのは高校生の時、学園祭で格闘技リングを設計・製作したことでした。自身も柔道部あった事もあり黎明期であった総合格闘技に興味を持っていました。同氏にとってリングは馴染み深く、そして誇りと情熱にあふれるものになったと言います。大学では幅広く工学を学びながらも、友人と共に家庭教師の事務所を開設する等起業家としての才覚を表しました。

　今までの知識や経験を詰め込んで立ち上げた（株）エコクラフト。順調に業績を伸ばしていましたが、新型コロナウイルスのあおりを受けます。活動制限や自粛を受け、一時はイベントの99％が中止となりました。積み立ててきた資金の切り崩しやレンタル商品の一部売却で困難を乗り切ると同時に現在は新たに貸し倉庫業に挑戦しています。「倉庫は木材をメインに建てていますが、社名にある通り、“エコ”に“クラフト”することをモットーに端材を添え木に使用したりして、余すことなく使い切ることを大切にしています。貸し倉庫も徐々に需要が高まっていると感じるので、安定的な基盤にしつつ、引き続きトータルイベンターとしてお客様のニーズに応えていきたいと思います。」と同氏は話されました。型にとらわれることなく、発想力と独自の技術で挑戦し続ける同氏の姿に大きな感銘を受ける取材となりました。

（事務局　関根）

会社概要…リング製造、イベント会場設営、武道館運営、機材販売　所在地：千葉市若葉区大宮町2880-87　資本金：1,000万円　入会年：2020年