【輝く中小企業の取り組み】地域の困りごとを解決できる会社にしたい!~イノベーションを生み出すために試行錯誤
(同)ノイギーア 代表社員 柳澤 淳一氏(習志野支部)
「好奇心」の意味を表す”ノイギーア”。新規事業を立ち上げながら会社の在り方、地域との繋がり方を模索している柳澤代表を取材してきました。
大学卒業後は物流系の不動産を扱うベンチャー企業に就職。労働環境は過酷ながら、物流業界について広く学べたとのことです。元々何か自分で事業を始めたいと思っていた柳澤氏。実家が50年続いていた運送業(柳澤運送)ということもあり、決算書や就業規則など色々な資料を勉強のために見ていました。ただそこで会社の利益構造や、数十年前から変わっていない就業規則などに違和感を覚え、社内整備のために柳澤運送に総務担当として入社することになります。社内整備をするなかで会社のことや経営の中身を勉強できる機会になると考えてのことでした。
高品質アドブルーの販売
社内改革が進み安定した頃、コロナで仕事が激減してしまい対策を考えるなかで、仕事先のツテで特殊なアドブルーの販売に参入することになります。アドブルーとはトラックの排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化する高品位尿素水です。そのアドブルーのメーカー代理店としてトップだった会社に誘われ、その販売会社として(同)ノイギーアを設立することになります。
一般的に使われているアドブルーではマフラーが詰まることが度々起きることがあります。その原因物質を取り除いた高品質アドブルーの商品を扱っています。マフラーが詰まり、修理する場合100万円程度掛かってしまいます。高品質ということもあり普通のアドブルーの倍程度の値段がしてしまいますが、環境にも配慮され、トラックの持続性を高められる観点からも自信を持って販促し、同業の運送会社を中心に販売を広げられているとのことです。また、2021年頃に尿素の大幅な輸出規制が起こり、価格が4倍もしくは買えないような状況になってしまったことがありました。ただ同社の仕入れは滞っていなかったため、その際には販売先を大きく広げられたとのことです。
尿素の輸入に左右される運送業界
会社としてはチャンスになった尿素ショックですが、運送業界としては危機的状況でした。国内の9割がトラック運送ですが、尿素がないとトラックは動かせません。その供給が国外の情勢に左右されるのは大きなリスクです。物流の継続性の確保をどう考えるか国として認識する必要があると語ります。
地域の困りごとを解決するための事業の多角化
ノイギーアとしては様々な事業に取り組んでおり、その一つが不用品回収です。同友会の仲間と連携して、回収した不用品のバザーを開催することになり、不動産関係の不用品なども含めた様々な物を新しく借りた倉庫に保管することができました。バザーは月1回柳澤運送の会社で開催しており、地域の人に知ってもらい、繋がる良い機会になっていると話します。その延長としてゴミ屋敷の整理や遺品整理なども事業として取り組み、今では1つの柱になっています。
また、ドローン事業にも参入しました。いつかドローンが運送を担う時代が来るかもしれず、その際に対応できるように今のうちから参入したいと考えたそうです。今は学校での集合写真など映像関係の仕事が多いとのこと。これらの事業は柳澤運送に仕事として発注することで社員にも関わってもらっており、運送以外の働き方を広げています。
その他にも柳澤運送ではホームセンターとの連携で、品物の設置と一緒に電球の取り換えなど家の困りごとを解決する高齢者支援を進めており、そこでできるサービスや支援の拡充を検討しているとのことです。
地域に根差しイノベーションを生み出す
ノイギーアとしては運送の枠に捉われず、興味のあるもの、面白そうなものに取り組み、柳澤運送と親和性の高いものを見つけて事業化してく、イノベーションを生み出す会社としていきたい。そのために今は拡大ではなく、地域に根差してできることを試行錯誤していると話します。他業種と連携を深めながら地域密着の企業づくりを進める柳澤氏の挑戦に期待の膨らむ取材でした。
(事務局 道山)
♦会社概要…事業内容:ディーゼル車用消耗品販売、ドローン空撮 生前・遺品整理等 所在地:習志野市東習志野6-13-16 資本金:50万円 入会年:2022年