【輝く中小企業の取り組み】バルーンアートの魅力にとりつかれて
Balloon Artist 大悟 眇田(すがた)大悟氏(成田支部)

バルーンアートとの出会い
眇田氏がバルーンアートと出会ったのは、学生時代のアルバイトがきっかけでした。20歳の頃、おもちゃ量販店でアルバイトをしていた時にイベントでバルーンが必要になり、店からの指示でその技術を習得することに。そして技術習得の中で才能はすぐに開花します。本社でも「すごくできる子がいる」と評判になり、新店舗のオープンイベントへの出張を依頼されるまでになります。
イベント時に出会ったバルーンを卸している会社の担当者に、バルーンアートに夢中になっている話をしたところ「こういう仕事があるんだけど、目指してみないか?」と言ってもらえたことが、バルーンアーティストとしての道を歩み始める大きな転機となります。

リーマンショック到来、二足のわらじ生活へ
大学卒業後、眇田氏はバルーン装飾を行う会社への就職を希望しますが、リーマンショックの煽りを受け、予定していた会社に正社員として就職できない事態に。しかし、バルーンへの情熱を諦めきれず、アルバイトをしながら自分で活動を始めることを決意します。
「リーマンショックの時に何やってんだよって話なんですけど、どうしてもやりたかったんです」と語る眇田氏。当時はアルバイトで生計を立てながら、案件があればバルーンの仕事も請け負うという、二足のわらじ生活が続きます。しかし、この時期は決して楽なものではありませんでした。体力的な部分はもちろん、バルーンの仕事だけで食べていくのは難しく、将来への不安から「趣味でも良かったのかな」と思ったことも。そんな時、知人からの「やれることをやったのか?出来ていないならやってからやめな」という言葉が彼を奮い立たせました。



バルーンアート1本での独立
そんな生活を5年ほど続け、バルーンアートの案件が安定して取れるようになって独立しました。コロナ禍においては、イベントの中止が相次ぎ、一時は厳しい状況に直面。しかし、多くの企業がイベント予算を装飾費用に回したことや、補助金も活用できたことで、コロナ禍に収入が大きく落ち込むことはありませんでした。「個人事業主として諦めていた育休が取れたようなものだった」と、コロナ禍をポジティブに捉えています。自宅で幼い子どもを抱えながら、家族と協力して仕込みや現場運営をこなし、家族との時間も大切にしました。
眇田氏のバルーンの技術は、国内にとどまらず、世界でも高く評価されています。国内外の大会で何度もタイトルを獲得しており、中でも2018年にはサンディエゴで開かれた世界大会の風船で衣装を作る部門での優勝を獲得し、さらに最も優れた技術者に贈られる「ツイスティングウィザード」という特別賞も受賞しました。


既存市場のその一つ先へ
今後は個人事業主としての活動を続けるだけでなく、組織化や新たな事業展開を考えています。これまで一人で事業を回してきた経験から、組織運営や企業経営を学ぶ必要があると感じ、同友会に入会しました。現在のバルーン業界では、既存の仕事を奪い合う状況が続いていると感じていて、それを打開できる、既存の仕事の一つ先の新しい仕事をしてみたいという強い思いを持っています。そのためには、バルーンアーティストとしての専門知識だけでなく、マネジメントや営業、販路開拓といった経営スキルの習得が不可欠だと考えています。
「バルーンは人を笑顔にできる、とても幸せな仕事です。もちろん大変なこともありますが、お客様からの『ありがとう』の一言が何よりも嬉しいです」と語る、眇田氏の描く未来のバルーン業界に期待が膨らみます。
(事務局 田中)
♦会社概要…事業内容:バルーン装飾、イベントの実施 入会年:2023年 問い合わせ:HP・右下のQRコード
