【輝く中小企業の取り組み】リサイクルが当たり前の世の中へ プラスチックごみは価値に変わる

(株)シーティージャパン
専務    柏木 絹子氏(市原支部)
代表取締役 柏木 文彬氏

柏木 絹子氏、柏木 文彬氏

 日本国内のリサイクル意識を高めたいと語る柏木夫妻。会員の柏木絹子氏と共に代表の柏木文彬氏の2人にお話を伺いました。

 廃プラスチックの再生加工をしている同社。2000年頃から事業を始めましたが、当時の日本ではあまりリサイクルという文化がまだ普及していませんでした。廃材などは海外に輸出されるものが多く、中国等の海外では大量の廃材の輸入があった背景もあり、日本とは真逆でその当時からリサイクルへの大規模な取組がされていたそうです。そうした廃材への需要を予見して廃プラスチックの再生事業に取り組みました。

 柏木絹子氏は、元々はゴミを扱うことに抵抗があり会社に関わっていませんでしたが、ゴミだったものが原料化することに感動し、もっと広めたいという想いをもって専務として経営に関わるようになったと話します。

廃プラスチックからリサイクル製品へ

 同社では、廃プラスチックを回収して製品の原料として再利用できるペレットへの加工をしています。中国では2016年に廃材の輸入を禁止しましたが、ペレットの形ではあれば廃材扱いされず輸出できるため、多くは今も中国を中心としたアジアに輸出をしています。

農業用ポリエチレンフィルム

 2021年からはペレットを使った自社製品の製造も開始しました。柏木代表は、「廃材を原料に再生するだけではリサイクルにはならない。ゴミだったものが原料に再生され製品として使われるまでしてリサイクルになる。その道筋を作るために自社での製品開発に踏み込んだ」と話します。現在はペレットから主に各種ゴミ袋の製造と農業用ポリエチレンフィルムの製造をしています。

 再生ペレットを使った製品は原材料がゴミなので、通常の製品と比較してCO2排出を大きく削減することができます。しかし、再生原料を使っていることや、製品が少し濁ったりしていると品質を心配する声が多く、なかなか受け入れてもらえなかったといいます。メーカーから直接排出された廃材などは、元が綺麗で仕分けもされているため綺麗な袋を作ることができますが、多くの廃材は一度市場に出て状態も良くないため、再生しても凹凸が出たり色がくすんだりしてしまいます。ただ近年は安全性や機能性に問題がないこと、また、市場に出た廃材の活用の方がCO2削減の算定が多いことから、くすんでいる製品の方が好まれはじめているといいます。

ペレットから袋へ

各社のエコ意識~地域一体の取組の必要性

 再生品の活用は業界によって捉え方に全く違いがあり、大手との関係性や圧力があるか次第のようです。個々の企業の判断としては、どうしてもコストに見合わず、外部にも見えにくいもので価値とするのも難しい。市原市は工業地帯もあってCO2の排出量が多い地域というデータもあるとのことですが、資本主義に沿った形でのエコの普及はどうしても限界があります。CO2排出の削減を本気でやるならば、ゴミの排出や使う資源などに対して自治体で一定の規制を掛けるぐらいでないと難しいだろうと話します。廃プラスチックの再生はとても難しく、同じプラスチックでも違う素材だと一緒に再生はできず、見た目でも判断がしにくい。同社では再生できるよう極力仕分けをしていますが、どうしても限界があり、ゴミを出す側の協力も不可欠です。

国内リサイクルの普及に向けて

 海外に輸出したペレットはほぼ全て製品化されています。しかし、再生素材を製品化する設備は大規模で高価なため、簡単には導入できません。海外では20年以上前から一般化しつつあったため普及していますが、まだ日本ではこれからとのこと。そうした乖離から、海外への輸出ではなく日本でリサイクルが進んでいって欲しいと。それは当然自社だけではできないため関係各所も巻き込んでいきたい。スタートとしては足元の市原市から広めていきたいと強い想いを話していただきました。

(事務局 道山)

♦会社概要…事業内容:プラスチック再生加工事業 所在地:市原市姉崎海岸61 資本金:1,000万円 従業員数:36名(関連会社含め) 入会年:2023年

 

Follow me!