【輝く中小企業の取り組み】地域に寄り添い “住みたい街”を共に創る~同友会での学びを自社に生かす~
(株)さとう工務店 専務 佐藤 公紀氏(松戸支部)
柏市内で工務店を両親と営む佐藤氏を訪ねました。
入会のきっかけを伺うと、他団体での埼玉同友会員との出会いから、事業承継の話になり同友会を勧められたそうで、その団体の取材で中同協・広浜会長より会社のこと、承継のお話を聞いたことも印象に残っているそうです。
後継者として
同社は、父である社長が1991年に設立、ゼネコンの2次下請けとして主にマンション内装を手掛けてきました。大工出身の社長のもと木造建築に強みを持ちながら、バブル後の軽量鉄骨の普及など建築工法の変化にも対応してきたそうです。
佐藤氏は大学卒業後、美容・医療の商社勤務を経て2005年に入社します。当時マンション数は減少し、分譲は大手中心、工法も様変わりしていました。「両親から戻ってきてほしいと頼まれました。まったく畑違いでしたが、家業でもありいつか戻るかも知れないと思っていました」と入社当時を振り返ってくれました。
営業事務から20代は現場手伝い、御用聞きとして仕事を覚え、徐々に任されるようなり、ここ10年はゼネコン対応をはじめとする新規開拓を担っています。また、学生時代に宅建の資格を取得していたことから不動産事業も任され事業の柱の1つにもなっています。
社長は70代、佐藤氏自身は後継者としての自覚はあるものの継承はまだ先の話らしく「会社情報は常にオープンにしてくれていますし、共に経営しているという思いでいますが、父からすると息子の私は頼りなく見え、任せられないでいるのかもしれません」と話してくれました。
建築業界の現況
業界を取り巻く環境を伺うと「職人は減少傾向で高齢化が進んでいます。当社も例外でなく50~70代が中心です。2~30年後に今の形の住宅建築は成り立たないのではと感じています。また、3年前のウッドショックから材料費は高止まりが続いています。当社は価格転嫁できていますが、利益を減らしている業者もあると聞きます」と厳しい業界状況を話します。
同友会での学びを自社に生かす
同友会に入会し考えるようになったこととして、地域性と障がい者雇用を挙げてくれました。
地域性については「ゼネコンの下請けが主体なので、地域性を考えたことはなかったのですが、同友会での出会いを通して、地域の建材屋さんとのつながりも増え、産地指定の木材を扱う仕事も手掛けるようになったことで意識するようになりました。学校の仕事も手掛けていますが、これは父の代から地域の信用を培ってきた成果だと実感しています」と話し、障がい者雇用についても「身近に障がい者がいるため、障がい者がどう社会的につながりをもって生きていくのかについて関心がありました。同友会の障がい者委員会に参加したところ、施設の取り組みや考え方など参考になる話を聞けましたし、自社で取り組めることを考えるようになりました」とのことです。
今後の抱負
今後について「当社の経験と技術を生かして、設備交換などの『リフォーム』はもちろんですが、機能そのものを変えていく『リノベーション』にも力を入れていきたいと考えています。いっそう地域に根ざした仕事に取り組んでいきたいです」と抱負を語っていただきました。
(事務局 逸見)
♦会社概要…事業内容:住宅、施設等の造作工事、内装工事、不動産の売買、賃貸 所在地:柏市南増尾4-8-4 資本金:1,000万円 従業員数:2名(その他職人4名) 入会年:2023年