【輝く中小企業の取り組み】働くことを誇りに思ってもらえる運送会社~社員を大切にすることが企業価値につながる

(株)下総運輸 代表取締役社長 宮田 英樹氏(野田支部)

宮田 英樹氏

 「社員が下総運輸で働くことを誇りに思ってもらえるような会社にしたい」と語る宮田社長。そんな会社の取り組みや社長の思いについて聞いてみました。

 元々経営者になるつもりはなかった宮田氏ですが、トラックドライバーをしていた父親が病気を患ったことを機に家業を手伝うことに。当然経営についての知識はなく強い想いもありませんでしたが、若手の運送業界の勉強会に誘われるなかで、業界についての知識や人脈を広げていきました。そんななか同業者の仲間に株式会社として事業を広げることを勧められ、株式会社下総運輸を設立することになります。経営については分からないことだらけではありましたが、同業者からの信頼と繋がりもあったことから順調に仕事も増えていったそうです。

社員を褒めて成長させることが顧客満足につながる

 宮田氏が経営のなかで大事にしたのは社員の働く環境とお客様の声でした。運送という労働集約型の事業は社員の数で受けられる仕事の絶対量が変わります。そして仕事を出すお客様の存在。社員とお客様の存在を第一に考えて、その要望に応える形で労働環境を整備し、受けられる仕事の幅を広げ、多種多様な商品を扱う運送会社に成長しました。

 取り組みとしては、配送システムの効率化、福利厚生の充実と有給休暇の取得率向上、そして評価制度の充実です。身だしなみや挨拶ができているかといった最低限のことから評価し、無事故を続ければ無事故手当を出すなどドライバーを褒める仕組みが多いです。本来なら評価される項目ではなく当然として求められるものですが、敢えて評価することで社員の質を高め、お客様の満足度の向上にも繋げているのです。

離職の理由は入社後に感じるギャップ

 同社では採用にも力を入れています。毎週会社説明会を開催しており、最初に面接から入るのではなく、まず下総運輸のことを知ってもらいそれでも入社したいと思ってくれたら面接に進むというステップを取っています。雇用条件や働き方の詳細といったことはもちろん、同社の理念や会社の良いところから悪いところまで知ってもらうことで、実際に入社した後のギャップを無くしています。退社理由で多いのが、実際に入社した後に話していたことと違ったり、思っていたことと違ったりするギャップが原因になりやすく、そのギャップを無くすことで離職することはほとんど無くなったとのことです。

信頼性を高め価格決定権を持てる会社へ

 同社は陸運支局の評価でAランクを取得しています。これはコンプライアンスに遵守しているかを評価されるもので、Aランクの事業者は県内でも9%程度。そうした会社としての信頼もあって、下請けではなく荷主との直接取引を増やしているとのこと。多種のトラックを配備し多様な仕事は受けられるようにはしているが、安請け合いはせず、社員の負担も考えて受ける仕事はしっかり選んでいるとのこと。一社依存を回避しながら価格決定権を持てる関係を作っています。

社員が下総運輸で働くことを誇りに思える会社に

 経営者としての姿勢で大事にしていることを伺うと、「社員が下総運輸で働いていることを誇りに思って欲しい。たとえ別の会社に行っても履歴書に書くことを自慢できるような存在になって欲しい。そのために地域に根差し社会貢献をしていく経営をしていきたい」と話します。地域との繋がりを作る取り組みとしてデザイントラックを走らせています。トラックの荷台に野田市の観光やお祭りなどのポスターを自社で作成してプリントしています。野田の情報発信ができるうえ、ドライバーも見られている意識や地域との繋がりを感じられます。

 また同じ野田支部には経営指針セミナーを受講した会員も多く、そこで聞いた良い話は取り入れ、失敗した話は避けて参考にしているとのこと。そうした関わりもあって経営理念を大事にしており、書いてあることと会社の取り組みが合致していることを感じました。社員を大切にし、育て、地域に求められる会社になっている実践事例を広めたいと感じる訪問でした。

(事務局 道山)

♦会社概要…事業内容:一般貨物自動車運送事業、自動車取扱業 所在地:野田市岡田574-3 資本金:1,000万円 従業員数:35名(うちパートアルバイト14名) 入会年:2012年

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