【新型コロナ関連情報 No.9】植田浩史教授からのメッセージ
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慶應義塾大学経済学部
植田教授からのメッセージ
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全47都道府県に緊急事態宣言が出される中、今や全国各地の同友会で、
会員の皆さまが奮闘しています。
同友会の同友会大学・経営指針成文化セミナーをはじめ、各支部で講演いただいている
慶應義塾大学経済学部の植田浩史教授より、「コロナ不況に立ち向かう4つのポイント」
と題してメッセージをいただきました。
以下全文
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千葉県中小企業家同友会
会員の皆さま
「コロナ不況に立ち向かう4つのポイント」
4月に入ってからの国内の新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは強まり、緊急事態宣言も全国に広げられました。この間、中同協は会員さんに対して何度か調査を行っていますが、時期が下るにつれ影響を受けた企業の割合は増えています。現在はほとんどの中小企業が、何らかの形で業務に影響が出ており、その深刻さはますます増大していると思われます。
新型コロナウイルスの広がりは命にかかわることですから、感染拡大防止に国内のすべての企業が協力しなければなりません。そのうえで、この大きな経営環境変化の中で自社が生き残っていくためには何が必要なのか、真摯に考え、実行していかなければなりません。その際、経営者は当面次のことを考える必要があります。
第1に、新型コロナウイルス不況は、これまで人類が経験したことのない現象であり、どのくらい、どの程度のものなのか、正確に予測することはできないということです。そのため、今の時点で何をすべきか、正解は見えません。
だからこそ、第2に、コロナ不況の長期化を想定した資金計画や予算計画、雇用の維持を考えるとともに、時々刻々変化する状況に合わせて修正し、必要なものを取り入れていく臨機応変さが必要です。長期的な視野での計画性とともに、変化に対応する柔軟性と実行性が、先が見えないコロナ不況に立ち向かう上で大事になります。
とはいえ、未曽有なコロナ不況のもと、わからないことが多くあると思います。政府や大手企業も右往左往しています。自分ですべて抱え込まず、相談できる人や機関を常に周囲に持っていくこと、利用することが第3に必要です。その一つとして中小企業家同友会やそのネットワークを大いに使ってほしいと思います。危機だからこそ「一社もつぶさない!」、これが同友会の考え方です。また、政府や自治体、金融機関等の支援策についての意識的な情報の収集や活用も必要です。
そして、第4に、経営者としてコロナ不況に立ち向かい、絶対に勝ち残ることを決意し、覚悟することです。厳しい環境に萎えそうになるかもしれませんが、一人で悩むことはありません。同友会の仲間や従業員の皆さんと一緒に乗り越えていってください。
21世紀に入って、リーマンショック、東日本大震災など大きな苦難を乗り切ってきた中小企業は数多くありますが、そのすべてで経営者の強い決意と覚悟が見られました。コロナ不況下でも「一社もつぶさない!」を、千葉県でぜひ実現させてください。
2010年4月17日
慶應義塾大学 経済学部教授 植田浩史
◆植田浩史氏プロフィール
専攻:中小企業論、経営史、産業史
1984年東京大学経済学部卒業、1989年東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学。大阪市立大学、大学院助教授を経て、2006年慶應義塾大学経済学部教授。2004年度中小企業研究奨励賞本賞受賞。中同協企業環境研究センター副座長。