【会員企業の取り組み事例withコロナ】 ビジネスとしてどうあるべきか?~整骨院の挑戦
(株)アテンド 代表取締役 金 英泰氏(市川浦安支部)
中学生の頃から経営者になりたかったと語る金氏。家族経営といったわけではなく両親祖父と、家族がそれぞれ事業を経営する背中を見て育ち、自身で独立したいという想いを幼い頃から抱いていました。そして医療関係の事業に興味を持つなかで、「自分が興味を持って長く続けられる店舗展開ができる事業」というテーマで選んだのが整骨院でした。29歳の時に開業します。
メニューのシンプル化
同社の施術メニューはとてもシンプルで、松竹梅のように時間で区切られたメニューが3つあるだけです。これは技術ではなく商品力で売っていきたいからです。整骨院に限らず対面サービスは人や技術に対してお客がつきがちです。これは良い面もありますが、逆にその人頼りになってしまいます。そのため、人ではなくメニューや仕組みで売ることが出来れば、他の人が引継ぎやすくなるだけでなく、組織も大きくしやすくなります。
お客様のための合理化(分かりやすさ)
時間だけで区切るということは、逆にその時間であればどんな治療もできるということです。人によって施術のアプローチは変わります。同社では最初にお客と施術のビジョンを共有することを大事にし、オーダーメイドの治療をしています。通常であれば施術内容で金額も変わりますが、メニューを時間でしか区切っていないため、一人ひとりにあった治療メニューと分かりやすい料金体系が強みになっています。
業界の常識ではなく世の中の常識
会社の在り方を大きく変える転換期が5年前にありました。整骨院業界の労働環境は決して良いとは言えません。業界としてもそれが普通になっています。しかし、働き方改革の波が来て、丁度助成金取得の話もあったため同社でも取り組みました。ここで問題になったのが、助成金は申請すれば取得できるものではなく、労働環境改善に取り組むことで取得できるものです。そのためには様々な環境整備が必要で、そこで初めて当たり前にやらなければいけないことが沢山あることに気付きました。助成金の基準は理想ではなく会社としての最低限。しかし整骨院業界にとっては大きな課題だったのです。そうした業界のギャップから、営業時間の変更や上述のようなメニューの集中化など様々な体制の改革に取り組みます。もちろん売上は下がりますが、その状態でビジネスとして成り立たなければ結局意味がありません。自分や従業員がどうにかするのではなく、仕組みとして変えていかなければなりません。
歯科とのコラボ・新市場の開拓
この間のコロナの影響は大きく、売上の4割を占めていた介護施設の訪問施術がキャンセルになってしまいました。そうした背景もあり、新たに注目したのが歯科業界です。同社では鍼治療も手掛けており、意外と知られていませんが鍼は口腔環境の治療にも効果があります。そこから相乗効果を見越して訪問歯科診療を行っている経営者仲間と相談し、コラボ事業を始めました。まだまだ新しい試みですが今までにない市場開拓として期待が高いです。
整骨院業界の社会的地位向上のために
3年前に経営指針セミナーを受講したことで考え方が大きく変わったと話します。漠然と店舗展開をしたいと考えていた同氏でしたが、セミナーを受けるなかで目的が明確になり、整骨院業界の社会的地位を向上させたいと考えるようになります。そのために必要なのは健全なビジネス体系で広く展開できること。それを実現するためには、「サービス・仕組み・労働環境」の体系を上手く作らないといけない。そこで今年は青年部のシステム経営例会にも参加し、広く展開するための仕組みづくりも学びました。目指すは10年間で200店舗!必ず実現できると夢を語っていただきました。
(事務局 道山)
◆会社概要…事業内容:整骨業、鍼灸業、施設訪問マッサージ、トレーナ派遣、介護事業 所在地:千葉市稲毛区小仲台6-2-8 資本金:300万円 従業員数:4名(内パート・アルバイト0名)