【会員企業の取り組み事例withコロナ】常識を覆せ!~多様な事業展開で、業界を変え、地域を変え、未来を変える!~
(株)スワット 代表取締役 黒川 智洋氏(千葉東支部)
教員から社長への転身
JR千葉駅至近で古くからシンボル的存在のビルに入居する、(株)スワット。一般的な警備業のイメージを覆す、明るく開かれた印象の事務所です。同社は警備業だけでなく、清掃事業、教育事業、ドローン事業、地域活性化事業など多角的に展開しています。
社長である黒川氏は10年前まで高校の教員(担当教科は社会科)をしていたという、異色の経歴の持ち主。お父様が大手警備会社から独立して興した会社を、3代目として引き継ぎました。当時業績が下がっていた同社の経営を立て直すべく、着手したことのひとつが経営の多角化でした。
一見バラバラな事業が、有機的に結びついている
清掃事業や施設の運営といった、警備の周辺業務のほか、教育や農業など珍しい事業にも着手しています。教育事業の柱は、もともと教育者であったノウハウを生かした、子供向けのプログラミング教室です。かねてより学校のプログラミング教育の画一性に疑問を持っていたという黒川氏。「考える力を養う」ものにするため、国語や算数などのほかの教科と結び付けて学べる授業を考案しました。このアイデアは教育現場で受け入れられ、教室を開催するだけでなく、学校等での講演活動も行っています。
また、別会社を作って佐倉市で農場も始めました。遊休農地を活用して野菜の生産をしており、ゆくゆくは無駄になって廃棄されてしまう野菜の加工・販売も視野に入れています。
こうした事業は一見すると警備業に無関係と思われがちですが、実はすべての事業が中心にある警備業と結びついています。昔からブラックな印象を持たれがちな警備会社において、「地域に根付き、地域での信頼を得ることは最も大切なこと」と黒川氏は語ります。大手警備会社ではCMに有名タレントを起用するなどしてイメージアップを図っていますが、同社では「中身ある社会貢献をしたい」という考えのもと、地元に密着した事業を展開することで、信頼とブランド力を高めています。実際に他の事業から同社を知り、地域のイベント等の警備を依頼されることも多いそうです。
人材不足でも応募が絶えない会社に
黒川氏は引き継いでから社内の様々な改革にも着手しています。まず、「仕事はあるが利幅が少ない」という状況を変えるために経費の見直しを行い、ITの導入を図りました。それまで人が行っていた出勤確認などを自働化することで、効率化されただけでなくトラブルへの対応も迅速になりました。
また、それまで「仲良し人事」で決まっていた役員の入れ替えを行い、評価制度を導入。経理もガラスばりにすることで、社内の風通しをよくしています。今後は、チームとしての成果を上げるためにフラットな組織づくりを目指していくそうです。
こうした取り組みが功を奏し、業績は向上。そして労働集約型の業種でも応募が途切れない会社になっています。事業の柱が複数あるため従業員も仕事の選択ができること、そして入社後の教育にも力を入れていることが魅力となっています。
今後についてうかがうと、黒川社長自身も「展開が読めない」とのこと。ただ「雇用をつくり、子供たちの幸せな未来をつくるために、点を線にしていきます」というセリフから、黒川社長の信念の揺るぎなさと、未知の展開への希望を感じました。
(事務局 菊池)
♦会社概要…事業内容:警備業・清掃業・教育事業・ドローン事業・地域活性化事業 所在地:千葉市中央区富士見2-3-1 6階 資本金:1,000万円 従業員数:400名(うち契約社員300名) 入会年:2023年