【会員企業の取り組み事例withコロナ】いつも変わらない味で心と身体に栄養を
薬膳火鍋九里香 オーナー 劉 涛氏(千葉中央支部)
千葉駅から歩いて10分程、軒並み飲食店のエリアにお店を構える“薬膳火鍋 九里香”にお邪魔しました。店内は白を基調としており、入ってすぐ左手に様々な食材が並ぶショーケースがあります。自分の好きな食材をチョイスできることが火鍋の醍醐味。まさにそれを感じさせる店内に心を弾ませながら代表の劉さんにお話しを伺いました。
火鍋の始まりは2000年前の中国!?
今となっては日本でも人気の火鍋ですが、その起源をご存じでしょうか?気が遠くなりますが、歴史を遡ると2000年も前の中国にたどり着きます。冬の戦は寒く、食料も十分に備えがありません。そこで皆で火を囲み、大きな鍋に食料を入れて食べたことが始まりです(*諸説あり)。中国は広いため、地方によって作り方や味が違うことも火鍋の魅力のひとつです。
決め手は日本と中国の強みを活かしたスープ
劉さんは中国出身。留学生として来日し、卒業後も日本でエンジニアとして11年間働いてきました。30代のときに今後の人生を見つめていくなかで、独立し飲食店を開業することを決意します。そのお店が“薬膳火鍋 九里香”です。飲食店と一口に言ってもジャンルは沢山あるなかで、なぜ火鍋を選んだのでしょうか?同氏は開業を決めた際に、店舗展開を視野に入れていました。そこでオペレーションが比較的少ない火鍋に決めたそうです。
店名にもある通り薬膳入りの火鍋なのですが、その薬膳の使い方は中国四川省の専門学校で学んだとのこと。日本ではラーメンのスープの作り方を学び、それを火鍋に活かしています。まさに日本と中国の強みを取り入れた贅沢なスープ。常連さんが多いことにも納得です。ちなみにスープのレシピは劉さんのみ知るわけですが、暖簾分けや作り方を教えてほしいとの要望が多数寄せられています。しかし、まだベースができたばかりで、完全なスープにたどり着けていないため要望に応えることはできないと言います。
安定の味には数字が不可欠
「安定の味」と言ってもらえることが喜びのひとつと話す劉さん。その“安定”を実現するために測定器でスープの味を管理するようにしました。その時の味見で十分ではないかと思うかもしれませんが、その日の体調によって濃く感じたり薄く感じたりするので安定の味は実現できないと言います。店舗展開を考えるなかで、どのお店に足を運んでも同じ味を提供できるようにするための取り組みです。この点に関してはエンジニア時代の経験が生きていると笑顔で語られました。
火鍋をもっと身近な料理へ
昨年12月に麻辣湯(マーラータン)専門店を稲毛に新たにオープン。デリバリーに特化したお店をコンセプトに、もちろん稲毛区にお店を構えているのですが、お隣の中央区寄りなので両エリアに宅配ができるという強みがあります。デリバリーが主力なので店内の席数は少なめ。その分、厨房が広く設けられており、食券機を初めて導入しました。
日持ちするように食材とスープは真空パックでお届けすることを計画中。あの独特の形をした鍋も購入希望者には販売し、希望しない方には使い捨ての鍋をお届けできるようにするとのこと。鍋料理をデリバリー注文すると、大半はすでに煮込んであるものが届きますが、劉さん曰く、自分達で食材を選んでつくるところに鍋の魅力があると言います。この一言に全てが詰まっている気がしました。
積極果敢に挑み続ける劉さんですが、スープの仕込みが間に合わず、その日の営業を終了せざるを得なくなった過去があります。閉店後すぐに明日のスープをつくるのですが、目を離せないのでお店に寝泊まりして仕込んだそうな。他にも従業員との情報・認識のすれ違いや、初来店の方にまた来たいと思ってもらえるようなフォロー体制の構築など課題は山積みです。しかし「課題を解決することが楽しい、千葉を拠点に日本一の火鍋屋を目指します!」とお話しされました。夏も過ぎ去り、冷え込みが厳しくなる季節が到来します。九里香の火鍋で冬将軍に勝ちましょう!
(事務局 松本)
♦会社概要…事業内容:火鍋及びマーラータンの製作と販売、デリバリー 所在地:千葉市中央区富士見2-12-1 虎屋ビル2F 資本金:2,000万円 従業員数:11名(うちパートアルバイト 10名) 入会年:2021年