【企業訪問記withコロナ】社会の困りごとを解決するオーダースーツ店～LGBTの方に寄り添う経営～

（株）シーアールエー　代表取締役　井出 俊信氏（佐倉支部）

　多感な青年期にバブル崩壊で潰れていく企業を見て、利益のみの追求は成り立たないことを強く感じた井出氏。企業は人々の生活を豊かにし、社会をよくするために存在するものだと心に刻みました。

　大学卒業後、証券会社に就職した井出氏は、営業成績は良かったものの、自分の原点と違う違和感を持って働く日々が続きました。そんな中、ふと立ち寄ったオーダースーツ店でお客が喜んでいる様子と店主が楽しく接客している姿に憧れを持ち、2012年に今の会社をたちあげました。

　コロナ禍で売り上げが落ち込む中、昨年３月に２店舗目をオープンし、また同友会の経営指針成文化セミナーを受講し、未来を見つめる井出社長を訪問しました。

業界について
　ビジネスでの服装のカジュアル化が進みスーツ需要が減っている現状、コロナ禍でテレワークを導入する企業が増え、増々スーツ需要の落ち込みが懸念される中、井出社長は「私が中期的に目指している会社規模としては業界の動向はあまり関係ない。ある時期から日本ではスーツの既製化が進んだが、本来のスペシャルな装いへ回帰し、オーダースーツへの需要が増える。そういったときにお客の無意識の部分も含めた要望をくみ取り、形にできる企業かが問われます」と話します。

LGBTの方への取り組み
　最近、力を入れているのがLGBT（性的少数者）の方に対応したオーダースーツ販売です。某企業でLGBTの社員が自殺した新聞記事を目にし「自分が自分として生きられる社会」にむけて本業を通して貢献できないかと考え取り組み始めました。予想以上に反響が大きく北海道や福岡からの来店もあり、大変喜ばれ従業員のやりがいにもつながっています。オーダースーツの仕事自体が相手の意をくみ取る仕事なので、従業員も無理なく対応していると言います。

　また、LGBTで働きにくさを感じている方の雇用の受け皿になりたいとの想いを新聞の取材の際に話すと、LGBT向けの合同企業説明会を主催する企業から無料でぜひ出店してほしいとの要請があり、その企業説明会で大学新卒者の採用が決まりました。今後自社の特徴にしていきたいと言います。

　最後に「コロナ禍であってもそうでなくても、常に危機感をもって会社を変化させていきたい」と抱負を語ってくれました。

（事務局　牧本）

◆会社概要…所在地：八千代市村上南5-1-62　資本金：100万円　従業員：8名（内パート・アルバイトなし）　事業内容：オーダースーツの販売