【企業訪問記withコロナ】時間をお金で買う時代、柔軟性であらゆるニーズに対応~中小企業だからできること~

日本ビルメンテナンス(株) 代表取締役社長 上林 敦寛氏/取締役 上林 みさを氏(手賀沼支部)

 同社は昭和63年から続く総合ビルメンテナンス業です。清掃を中心に、給排水管の洗浄、空調・電気設備の保守管理・害虫駆除などの業務を行っています。小回りの利くフットワークの良さで、主に銀行や病院、特別養護老人ホーム等で重宝されています。

 同社は上林氏の父が会長職として創業し、3代程親族内の社長を経て、約18年前に同氏が引き継ぎました。引き継ぐことを想定して他社でノウハウを学んでいたこともあり、継承の際も戸惑いはなかったとのことです。

 コロナ禍で一番の影響が出ているのは特別養護老人ホームでの業務であると言います。清掃業務は主に拭きや掃き清掃を行う「日常清掃業務」と日常清掃業務で落としきれない清掃やワックスがけ等を行う「定期清掃業務」がありますが、老人ホームでは定期清掃業務を取りやめる傾向があります。2つの業務を組み合わせたプランを提供しているため利益に変動はありませんが、コロナ収束後にどのようなサービスをプラスアルファで提供できるか考えています。

 同時に課題になっているのが、最低賃金引上げにおける利益の確保です。業界のイメージから料金の値上げ交渉が困難な風潮がある中、最低賃金の保障に努めると、より短時間に業務を終わらせる必要があります。同社の従業員の9割が65才以上の女性ということもあり、短時間・高クオリティの過剰な追究は身体への負担や安全に対する意識の低下につながります。このジレンマを解消するためにも業界の社会的評価の向上と新規事業の開拓に取り組んでいます。

 同社で注目しているのは個人宅や賃貸アパートへの清掃管理業務です。ウーバーイーツからも見て取れますが、現代人は時間をお金で買う傾向があります。その点に着目し、大手にとっては市場が狭く、一個人ではできない専門的な清掃業務を受け持つことで、他社との差別化を図る術を模索しています。

 今後の展望についてお聞きすると「清掃業務は環境問題とも深く関わり合っており、SDGsが一般化される中、より環境への配慮が求められるでしょう。当社も持続可能な会社として社会が求めるものを提供していくためにも、事業の柱を増やし、経営基盤を拡充させたいと思います」と話され、訪問は終了しました。

(事務局 関根)

◆会社概要…所在地:柏市豊住4-1-5 資本金:1,000万円 従業員:98名(内パート・アルバイト90名) 事業内容:ビル内外の日常及び定期的な清掃。受水槽清掃、害虫駆除他 

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