【企業訪問記withコロナ】伝統の佃煮の継承、埋もれる逸品の再生~食を通じて困りごとの解決を~

(有)川留 取締役 川口 賢一郎氏(市川浦安支部)

 浦安と聞くと、つい某テーマパークを思い浮かべてしまいますが、昭和初期は海苔の養殖やアサリ漁などが中心の漁師町でした。昭和40年頃からは海の埋め立て事業が進み、地下鉄東西線が開通し急速に都市化していきました。そんな街で生まれ育った川口社長を今回取材しました。

 川留の創業は1948年、戦後の貧しい日本の食卓を少しでも豊かにしようと祖父が鮪の切り落とし販売を行ったのが始まりでした。その後は魚介類の佃煮や漬物などの加工食品を扱うようになり今の総合加工食品卸業に。佃煮は製造業者と関係が深かったため、味付けの注文をし、独自の商品として売り出しました。

 川口社長の父親の代では、高度経済成長期で建設工事が増え、それにともない労働者の飯場(宿舎)が建てられ、ご飯のお供として総菜が重宝され最盛期を迎えました。

オリジナル佃煮

埋没しない会社づくり
 2011年に代表を引き継いだ川口社長は、同じことをしていては周りの会社に埋もれてしまうとの危機感から、経営理念に『日本の食文化をあらゆる形で発信し、その伝統を継承します』と『事業を通じて人と社会の輪を広げ、社会に貢献します』を付け加え自社の特徴を出していくことに決めました。

 食品の流行り廃りの回転は速く、消え去る商品が沢山ある中で、佃煮は生き残った数少ない食品、かつ伝統ある食品を継承したいとの想いが川口社長にはありました。そこで祖父の代から続く自社ブランドの佃煮をインターネットで専門販売し、BtoCに力を入れ始めました。

 また、卸業の将来に危機感を感じ「フードビジネスマネジメント事業」を立ち上げました。これは地方の埋もれそうな逸品を売り出すための事業で、食品の原材料を生産する農家や漁業者の継続も考えた第6次産業のお手伝いです。以前に、秋田名物の「いぶりがっこ」をチーズと組み合わせ、イタリア料理店で提供してもらい新たな販路を開拓しました。

 最後に川口社長は「いまコロナ禍で飲食店が大変な中、自社は何をしたらよいか悩みました。丁度その頃、浦安市での同友会の新支部設立をめざし、今年入会しました。体験報告から学ぶうちに、何のために商売をしているのかを考えるようになり、創業時の祖父がそうであったように人々の困りごとを“食”を通じて解決することが私の原点だと思い返しました。既成概念に捕らわれず、ワクワクを感じながら事業を展開していきたいと思います」と今後の抱負を力強く語りました。

(事務局 牧本)

♦会社概要…所在地:浦安市北栄2-14-6-303 資本金:300万円 事業内容:食品の卸売、インターネットでの販売

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