【企業訪問記】ダンプでつなぐ人とのご縁 大好きな仕事、大好きな地元のために
(有)泉建材 取締役 泉 恵子氏(茂原支部)
潮の香りがする九十九里ビーチラインを走り、(有)泉建材を訪問しました。
同社は山砂・砕石・残土などの運搬、小売、土木工事を手掛けています。もともとはご主人が「ダンプが好きだから」と始めた会社。生コンの運搬で少しずつ生計を立て、出た利益をもとに重機を購入し、仕事を拡大してきました。
京都府から千葉に嫁ぎ、専業主婦だった泉氏は、ご主人を支えるために免許を取得。自分もダンプを運転しながら、経理や事務、集金などもこなしたそうです。困りごとがあれば電話一本で引き受け、無理な仕事はできないとはっきり言う。そんな姿勢は創業以来変わりません。営業をすることなく関東一円に仕事が広がっているのは、明るく前向きな泉氏の人柄によるところが大きいと伝わってきます。2011年にご主人が亡くなった時も「社員も子供もいて、悲しんだり辛いと考える暇もなかった」と話します。
建設資材を扱う仕事は仕入額が大きく、資金繰りが命綱です。2001年には仕入先の倒産で5千万円の不渡りをくらい、自社も不渡りを出さざるを得ない状況に追い込まれたそうです。取引業者や税務署には迷惑をかけないように処理し、会社としては一時休業状態になりました。会社を畳むという選択肢もある中で、社員の大半が「ここで一緒にやりたい」とついてきてくれ、取引業者との縁もそのままに再建することができたそうです。
その後も堅実な経営姿勢が評価され、政府系金融機関から再び融資を受けられることになるとともに、再生支援協議会を紹介されて事業計画などを策定。国の制度を利用して代位弁済をしていた信用保証協会への返済負担も大きく減りました。
「いろいろな縁に恵まれ幸運だった」と語る泉社長自身が、ご縁や人脈をとても大切にしています。銭湯や旅行に行くときは「一声かけると集まってくる」仲間が大網白里にたくさんいるそう。ひとたび家庭に入れば料理が大好き、10人のお孫さんを持つという顔も。事業承継予定の息子さんと力を合わせ「これからも大好きな仕事と地元のために頑張るだけ」と語る笑顔が印象的でした。
(事務局 小山)
◆会社概要…所在地:大網白里市北今泉3696-41 資本金:500万円 従業員数:5名 事業内容:建設資材運搬、小売、土木工事