【企業訪問記】かかりつけ医のように身近でクリエイティブな弁護士に

弁護士法人あらた国際法律事務所
代表弁護士 沼倉 悠氏(千葉中央支部)

 沼倉氏は2013年に弁護士の道を歩み始めました。3年間の勤務弁護士を経て自身の法律事務所を立ち上げた後、同友会に入会しました。同友会を知る会で経営指針セミナーを知り受講を決意。これから人を雇うことを考えていくと、「お金のためだけに働くのはもったいない、生き生きと働いてほしいし、自分もそうしたい」という思いがセミナーへの参加を駆り立てたと言います。受講して自分がなぜ弁護士をしているのかを考え始めるきっかけを得られ、作成した理念を外部に公開できたことは非常に大きな収穫であったと言います。事務所で働く事務の方の中には掲げられた理念に共感して応募をしてきた方もいたそうです。生き生きと働いてもらうために、年次有給休暇の計画的付与制度を義務化以前から取り入れて活用し積極的に休みを取れるよう促してきました。一方で弁護士の採用は厳しいと語る沼倉氏。その理由を伺うと、弁護士の団塊世代が採用側に回ることで就職希望者よりも数が増えてしまったことが原因であると言います。

 また、これからは既存の法律を適用するだけでは弁護士の仕事はコモディティ化する上、AIに取って代わられてしまう可能性すらあるため、創造性が必要とされる法のルールを作っていく能力(ルールメイキング)が強く求められると話します。マクロなレベルでは、国際機関での条約制定や行政機関での法規の制定、訴訟を通じた判例の形成などがそれにあたり、ミクロなレベルでは契約後に起きるであろう問題を予測し未然に防ぐような契約書づくりなどがあると言います。沼倉氏の強みは法律や文化の異なる外国との国際取引におけるトラブルを未然に防ぐ契約書の作成です。この契約書の作成には英語力はもちろん、文化の違う相手とのトラブルを予測する力も必要になります。弁護士に今後求められることを細かく分析している沼倉氏、最近は顧問契約が増えており企業依頼の割合が増加傾向にあるそうです。しかし、弁護士を少しでも身近な存在だと思ってもらえるように、企業からの依頼が増えたとしても個人依頼との割合は半分ずつを保ち、どのような依頼もできるだけ断らないスタイルを取っています。

 最後に今後の展望についてお聞きすると、千葉県には本社を置く大企業が少ないからこそ小規模M&A等の基盤を整えるためのローファーム(多数の弁護士をかかえた専門別に組織化された法律事務所)を作りたいと語られました。地域や一緒に働く人を思いやり日々研鑚を積み重ねている沼倉氏、来年度から千葉県弁護士会の副会長に就任し、ますます活躍が楽しみです。

(事務局 松本)

◆会社概要…所在地:千葉市中央区新宿2-7-10 エレル新宿ビル6F 従業員数:2名 事業内容:国際取引を含む企業法務、倒産・事業再生、その他民事

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