【企業訪問記】若い世代の期待に応えられる酪農家になる

切替牧場 代表 切替 宣充氏(市原支部)

 鳥の声響き渡る袖ヶ浦の中山間地域に位置し、乳牛を飼育して酪農を営む切替牧場を訪ねました。現在、県内に酪農家は約500件、平均頭数は30頭で家族経営形態がほとんどを占めます。切替牧場も40頭を飼育する家族経営、しかし切替氏はかねてより規模拡大を展望してきました。300頭を超えるとスケールメリットが出てくるそうですが、多くの酪農家がそうしない理由に365日24時間対応の高い労働負荷やフン尿の処理設備への投資など、様々なハードルがあります。

 しかし酪農はAI、IoT技術の発展が1次産業の中でもトップクラスに進んでいて、これらを解決できるビジョンが見えてきています。「ロボット搾乳」という北海道で先進的に取り入れられている技術は乳牛が24時間好きな時に機械によって搾乳でき、牛乳の温度などから体調の変化や妊娠の有無なども知ることが出来るそうです。これは人間の労働負荷を減らすだけでなく、牛のストレスも大幅に軽減できるとのこと。他には「コンポストバーン」というたい肥の上で牛を飼い、そこでしたフン尿は土中菌が処理してくれるという技術や「エコフィード」という人間の食品を作る際のロス、例えば果物ジュースを作った際に出る果実をエサとして再利用する、という取組みもあります。

 多くの酪農家が従来通りの方法で家族経営を続ける中、なぜ切替氏がこれらの技術を継続的に学び続け、規模を拡大したいのかを伺うと「それはやはり『酪農教育ファーム』というNPO活動が大きいと感じています。これは我々酪農家が小学校に赴き、酪農の実態や食育を伝える活動なのですが、酪農を学ぶ学生に手伝ってもらいながら続けています。その休み時間に学生と話した際に、どの学生も就農したいという熱意があるのに、ほとんどの酪農家が社員を雇用していないため、働き先がないということを知りました。また何とか就職できても待遇や労働環境の厳しさから3年以内に離職する人が6割だということも。私は酪農という仕事が本当に大好きで、この仕事を熱望してくれる学生がいるなら、公務員並みの待遇を整備し、雇用を広げていきたいと思うようになりました。そのためにも今、毎月北海道まで勉強にいっていて、3年以内には実行に移せそうです」と語られました。学生たちの熱が一人の酪農家に移り、その取り組みは産業を強固に支えるものとなる、そんな未来を垣間見た取材となりました。

(事務局 田中)

◆会社概要…所在地:袖ヶ浦市上泉1510 従業員数:3名 事業内容:酪農、生乳生産、堆肥製造・販売