【企業訪問記】本業に徹して28年〜美味しさの感動を生むチョコレートづくり〜

(株)グランプラス 取締役会長 野村 英雄氏(八街支部)

 のどかな八街の風景に溶け込むチョコレート工場。工場の一角にある直売所(曜日限定開催)には、直売品を楽しみに訪れた人たちがひっきりなしに出入りしています。

 (株)グランプラスの事業は高級チョコレート・菓子類の製造販売です。有名洋菓子店や航空会社、ホテル等の商品をOEM生産するだけでなく、港区汐留には直営店も開設しています。

 もともと業務用ベルギーチョコレートを取り扱っていた商社が、チョコレート製品を独自に製販しようと設立した会社です。大手菓子メーカーで商品開発の経験がある野村氏(現・会長)に白羽の矢が立ちました。しかし、最初は製品を作るのにも販売するのにも四苦八苦、資金繰りにも大変な苦労をしたそうです。5年を過ぎたあたりから、ようやくノウハウや品質が評価され、口コミで仕事が増加。日本の高級チョコレート市場がまだ未成熟だった時代、同社はその先駆けとなりました。

 同社の強みは、いわゆる「大手が手をつけたがらない」市場のニーズに応えられることです。工場は単純な工程を機械化し、複雑な工程を職人が手作業で行うという「セミハンドメイド」方式。これによって手仕事の美しいチョコレートが作れるだけでなく、「オリジナリティを出したい」という依頼に応えることが可能です。

人気商品のペカンナッツショコラと伊予柑ピール

 また、原材料も大量生産では手の出しにくい高品質ものを使い、農作物であれば実際に農家に赴いて品質を確認しています。伊予柑にチョコレートをコーティングした「伊予柑ピール」もそのひとつ。70gで1,500円近い高級商品で、野村氏ははじめ「売れないかもしれない」と思っていたそうです。ところが卸先の生活協同組合で「無農薬・有機栽培」という点が消費者の目に留まり、販売は好調。4年連続モンドセレクションの最高金賞も受賞しました。「私たちは『手作りのものを自信をもって提供できるかどうか』だけ」とシンプルな言葉に、作り手としての姿勢が集約されています。

 創業時の数名から、社員80名にまで成長した秘訣をうかがうと「徹・本業」の答え。「景気のよい時も他に手を出さずに、チョコレートと関連する菓子製造にだけ打ち込んできました。飽食の時代に『大ヒット商品』はそう簡単に生まれませんが、社員の生活のことも考えて、これからも堅実にやっていきます」と力強い言葉が返ってきました。

(事務局 小山)

◆会社概要…所在地:八街市八街は17番地 設立:1991年 資本金:2,000万円 従業員数:80名 事業内容:高級チョコレート・菓子類 製造販売

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