幾多の外部環境悪化を付加価値のある商品づくりで乗り越える

㈲和喜多 代表取締役 小原 修氏(千葉西支部)

 同友会歴20年を越える㈲和喜多の小原修社長の会社を久々に訪問し、思い出や自社の取り組みについての話の輪が広がりました。同社は、レストラン、ホテル、ゴルフ場等を主な取引先とする食肉卸業を営み、創業以来31年目を迎えます。

次々と襲う外部環境激変

 1990年代後半、狂牛病・O-157の流行・食肉偽装問題など様々な環境の激変に直面し、赤字経営に転落。売上げと利益とのバランスを無視した“勘と度胸”の経営、自分の手腕と営業力がすべてと思い込み、過酷な労働環境にあって社員の反発に苦慮したことも。そこから第4期経営指針成文化セミナー(1999年)への参加をきっかけに、経営理念を軸に据えた科学的経営・社員参画型経営に挑戦し始めました。

 その後、財務担当不在のもと社長自らの入出金の一覧表づくりから始まった資金繰りの計画化、運転資金の確保のための棚卸と在庫管理の徹底、過剰在庫を減らすための扱い商品アイテムの見直し、仕入先の支払い期日までに現金回収を行う工夫、相手にもメリットのある仕入れ価格の交渉の方法の提案等々の取り組みにより、黒字経営への転換に成功しました。

業界の過当競争のもとで…

 近年、食肉卸売業界は競争激化による収益性の悪化が続く中、同社は①価格が安く収益率の低いひき肉としてしか利用価値がなかった売れにくい部位をハム・ソーセージに加工し、高付加価値の商品に転換する、②加工場の隣地に大型冷蔵・冷凍設備を新設し、保管可能な容量を大幅に増やすことで、顧客の飲食店の保管の代行、まとめて商品を仕入れることでのコスト削減、また販売困難な端材を仕入れることでのメーカーの輸送コスト削減にも貢献する取り組みなどを計画化し、2010年度、中小企業新事業活動促進法の「経営革新計画の承認」を取得。また2016年度の2回目の「経営革新計画の承認」では、牛のような育成・履歴の保存に義務付けがない豚肉流通における流通経路の情報把握システムの構築を謳い、飲食店・消費者の食の安全・安心に貢献することに力を注いでいます。

 人の入れ替わりも激しかった過去。しかし今では、労働環境の見直しにより定着率が上昇し、「食肉文化を通じて“安全と安心”を提供する」との理念を語り、実践することで、取引先も引く手あまたに。息子さんが後継者となり、今後社員の育成により力を入れたいと熱い抱負が語られました。

(専務理事 川西)

◆会社概要…所在地:千葉市若葉区若松町768-13 資本金1000万 従業員数:17名(うちパート・アルバイト8名) 事業内容:食肉卸売業

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