地域の健康を支える薬局〜患者に寄り添える薬剤師〜

(一社)千葉保健共同企画 代表理事 伊藤 美砂子氏(船橋支部)

 今回は、鎌ケ谷から船橋、幕張、千葉にかけて11店舗の薬局を経営している、(一社)千葉保健共同企画の伊藤氏を訪ねてきました。同社はもともと1987年に有限会社として設立しましたが、千葉民医連(民主医療機関連合会)の「無差別・平等の医療福祉を目指す」理念にもとづき、利益ではなく患者、地域を主体としたサービスを提供できるよう、一般社団法人の形態に2016年に改変したそうです。

 同社は地域に根差した薬局として、2店舗で「健康サポート薬局」の認定を受けています。昔ながらの薬剤師業務は、医師からの処方箋に書かれた薬を迅速に調剤することに第一でしたが、もともと市中薬局には、病院にかかる前の相談役として一般薬を販売提供する機能がありました。厚生労働省はかかりつけの薬剤師を配置し、地域の方が薬局で健康の相談をできる体制を整えることを2年前に制度化しました。同社は全ての店舗で地域から求められる調剤サービスの提供環境を作っており、在宅療養など薬剤師訪問活動も積極的に行っているそうです。薬剤師がかかりつけになるため、当然高い専門性が求められます。そこで、社内では認定薬剤師を取得するための研修支援規定を持っています。委員会活動を通じ、自分たちで研鑽を積まれているとのこと。そうした活動を元に、医師の処方箋に対し意見や提案をすることもあるということに驚きました。

 優秀な薬剤師を育てるため、労働環境の改善にも力を入れています。女性が多い職場のため、ライフステージの変化に対応できるよう、雇用形態に融通を持たせ、安心して子育てをし、職場復帰できる体制があります。また、人材確保のため、奨学金制度も整えており、薬学部6年制の高額な学費を支援するとともに、インターンシップや地域活動に参加してもらうことで、同社の理念を理解し納得のうえ就職してもらっているそうです。

 「地域に根差し、地域に支えられる薬局でなくては今後生き残れない」と語る伊藤氏の言葉から、地域の薬局機能の成長に期待が膨らむ訪問でした。

(事務局 道山)

◆会社概要…所在地:船橋市二和西4-33-16 資本金:300万円 従業員数:105名(うち非常勤含め薬剤師数74名) 事業内容:保険薬局(保険調剤・医薬品販売・住宅療養管理指導など)

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