入会・指針成文化・実践の３ステップで家業から企業へ

（有）エムアールサービス　代表取締役　松本修氏（成田支部）

　松本さんは４年前の3月に後継者として同友会に入会し、同年4月に理念どころか理念と言う概念もないまま経営指針セミナーを受講されました。先代である父が創業してから1７年間ずっと家族経営でやってきていました。ですが松本さんは、かねてより他人社員を雇い入れて、家業から企業にしたいと思っていたそうです。業務内容は冷凍車の修理という特殊な業種、口コミで来るお客様とディーラーや町の修理工場で受けた修理を下請けで引き受けるという形で仕事をしていたため、社名を前面に出していませんでした。

　それをセミナーの中で話すと「お客様に対して不親切だし不誠実だ」と言われ、すぐHP作成や社用車に社名を載せるなどできるところから取り組まれたそうです。指針セミナーを受講したことで自分の頭の中が棚卸でき、やるべきことの優先順位が明確になったと話されていました。

　成文化したら次は実践、ということで第一に代表交代、次に社員を入れたいという思いから社会保険完備、就業規則の作成、求人活動に取り組みました。４年前には家族経営だった同社も今では社員8名。冷凍車の修理というのは時間の制限があり既存の部品を取り換えるだけではなく時には、改造し応急に作動させるなど臨機応変な対応が必要なことに加え新車・中古車問わず冷凍機を新規に取り付ける時には、採寸・図面作成、配管加工、鋼材の切断・溶接・塗装と全てが手作りでルーチン作業ではありません。そのため作業のマニュアル化が難しく、人材定着において、そこが今後の課題だと話されていました。今働いてくれている社員はそういうクリエイティブな仕事にも意欲をもって取り組んでくれる人たちだと話されていて、私が訪問した時も作業の合間に配管ロウ付けの練習をする若手社員とそれを見守る先輩社員二人の光景が見られました。

　今年8月に社員の１人が、家族で会社のある芝山町に引っ越してきてくれたそうです。「自社が彼を雇用できたことで、減る一方だったこの町に４人も人口が増えました。芝山町の中小企業は約300社、これらが雇用を増やせたら…。」自社の発展の延長線上にある、地域の振興を見据える松本社長から今後も目が離せません。