【会員企業の取り組み事例withコロナ】自社にしかできない手作り商品~物づくりに対する熱い想いと逆境する市場への葛藤~

藤代 祐孝氏

ハッコー食品(株) 代表取締役 藤代 祐孝氏(千葉東支部)

 新入社員として同社に入社し30歳で会社を承継した藤代氏。入社したころから経営に対して提言することが多く社長に一目置かれていたことから、入社3カ月で工場長になり様々な経営改革に取り組みます。もちろんベテラン社員との確執も多かったそうですが、持ち前の負けず嫌いの性格で乗り越えてきたそうです。

 従業員の構成として約8割が女性であり、女性は家事経験も多く手先が器用で物づくりに向いていると話します。障がい者雇用に先代から取り組んでいることもあり、男女問わず年配の方でも誰でも働き続ける職場環境の改善には気を配っているとのこと。

こだわりの手作り商品

 同社の売りは手作りによるブライベート商品です。餃子、ピザにワッフルにケーキと様々な食品を手掛け、食品販売店から外食店に幅広く卸しています。大量に生産する必要があるため機械化している部分も多くありますが、工程に手作業を入れることにこだわり、「ピザでいうと、手と機械で端を丸めるのでは風味がまるで違う。手作業だからこそ出せる良さがある」と話します。また、型にとらわれない商品開発をしていることから他社ではできないことを頼られることも多いです。無理難題のような依頼もあるそうですが、今ある機械や人員でどうやったらできるか考え工夫し、試行錯誤を続け根性で応えてきました。

厳しい環境での物づくりの葛藤

 そうした引き合いから季節商品などで繫忙になることもありますが、その分お客様次第で閑散になる落差も大きいです。食品卸しとして納期は絶対であり、無暗に仕事を増やすわけにもいかず販売管理が難しいとのこと。また、商品開発や手作業の工程は見た目には表れないもので理解もされにくいものです。そのため値段交渉はいつも厳しく、顧客のニーズと商品の付加価値と効率化のバランスにいつも葛藤していると話します。

 コロナの時には外食産業の売上がほとんど無くなり、逆に採算の取れない仕事が増えてとても厳しい時期でした。更に近年は物価上昇の影響が大きく、材料費の高騰はもちろんのこと光熱費の高騰が激しく、事業の選択と集中をしながら取り組んでいるそうです。

やりがいを生む直売会企画

 お客様に楽しんでもらう企画として会社の敷地を使って焼きたてのクラフトピザなどを販売する直売会を開催しています。月1回(原則第3土曜日)のみの開催ですが、朝から人が並び、100人以上が来るそうです。お客様と直接触れ合うことで商品アイデアをもらえるのも大きいですが、実際に買ってくれる人を見られることで従業員のやりがいにもつながります。食品という分かりやすい商品でも製造現場では消費者の目に触れられにくいです。特に手作りということもあり従業員のメンタルが品質にも表れるため、こうした機会が大切になると話します。

海外への挑戦

 今後の展開については海外展開を伸ばしていきたいと語ります。国内市場は確実に縮小していきます。そうしたなかでどれだけ自社として選択肢があるか、そこで拡大市場の海外で展開できるのはパイの確保にもなるうえ、海外での評価は大きな強みになります。

 逆境の環境のなか自社の強みを生かし、更なる高みを目指す同社の邁進に期待が膨らみます。

(事務局 道山)

♦会社概要…事業内容:ピザクラフト・ワッフル・パン・餃子皮他小麦粉加工品製造 所在地:千葉市若葉区貝塚町837 資本金:4,800万円 従業員数:100名(うちパートアルバイト65名) 入会年:2009年

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