【会員企業の取り組み事例withコロナ】日本一高く売る材木屋~お客が求めるものを提供する力
田口産業(株) 代表取締役 田口 将士郎氏(浦安支部)
思い出され必要とされる自社の強み~リサイクル木材
木材の小売業を営む同社は1985年に田口社長の父親が創業し、田口社長は19歳のときに入社し32歳のときに事業承継し、リサイクル木材の取り扱いに力を入れ着実に会社を発展させてきました。屋根などに使われていたベニヤ板などは、建設現場などでの土留め用にゼネコン業者が購入します。見た目が良くなくても、一時的用途、または土の中に埋めるものなので中古が重視されます。リサイクル木材は強度にバラツキがあり同業他社は取り扱えませんが、同社では経験と目利きで仕入れと提供を強化しています。それでも一部、不良品が混じることもありクレームを受けることもありますが、そんな時こそ対応をしっかりとすることで大きな信頼を得ることもでき、またクレーム対応を通して社員の育成にもつながると田口社長は言います。
一般的には新品木材の利益率は2割程度ですが、同社のリサイクル木材は8割程の利益に逆転します。それでも引き合いは多いと言います。田口社長は笑顔で「自社は高いと言われますよ」と話され、続けて「高くても引き合いがあるのは、お客様が必要な材料を提案したり、必要な量をすぐに提供できるからです。お客様が求めるのは価格の安さもありますが、より一層に求められているのは提案力です。そのためには常に市場をつかみ適切な在庫を揃えるかが大事なのです」と強みを話されました。
別事業でも貫かれる考えと強み~足場レンタル
同社は別事業の支店が千葉市にあり、そこでは大規模解体に使われる特殊品とされる鉄製足場材のレンタルと設置工事を2016年より行っています。この足場材の同社での保有数は日本一であり、重宝されています。また現場で並行して必要となる木材も同社で迅速に提供できるため好循環を生んでいます。市場が何を求めているのかを考え、それに応えるといった同社の考えが、ここでも貫かれています。
これからの挑戦~障害者雇用とSDGs
今後の事業展開として、これまで仕分けに手間がかかり経費が合わず取り扱ってこなかった廃棄材を見直し、目的を再確認し再度リサイクル販売することを考えています。
田口社長は「これは世のため人のための事業で、利益をここに投資していきたいと考えています。世のためとは木材の廃棄を自社で止めることです。環境に配慮するということでSDGsの取組みにも繋がります。人のためとは障害者の方へ仕事を提供することです。簡易作業の仕事を生み出し障害者の方の雇用に繋げていきます。様々な場所で学ぶ中で、いま社会から求められているものを考えるようになりました。」と力強く話されます。
経営指針づくりと社員の育成
最後に今後の抱負として「現場での対応などは自分の感性で進めていることが多く、強みであると同時に課題でもあります。今後は同友会で大切にしている経営指針を整え、従業員自身で考えながら働ける環境をつくっていくことが必要だと感じています。そうすることで従業員一同ワクワクが止まらない事業展開に取り組めるようになります」と語られました。
(事務局 牧本)
♦会社概要…事業内容:木材販売、買取、引取、処分 所在地:東京都江東区新木場3-8-10 資本金:1,000万円 従業員数:25名(内パート・アルバイト3名)