【会員企業の取り組み事例withコロナ】困難な状況でも明るく未来を見据える~バス業界のこれからと自社の今後~
鎌ケ谷観光バス(有) 代表取締役 徳永 敬氏(鎌ケ谷支部)
新型コロナウイルスにより、人々の動きが止まり、生活様式も一変しました。それは‶移動の足″となるバス業界に大きな影響を与えています。同時に排ガス規制の影響で車両入れ替えを余儀なくされたり、法の厳正化により経営悪化の一途を辿るバス会社も少なくありません。今回は路線バス、貸切りバス、企業送迎バスを展開している鎌ケ谷観光バス(有)の徳永社長に話をお聞きしました。
現在のバス業界
同社は1976年に先代である同氏の父が中古車販売業として創業したのが始まりです。その後、法改正と顧客ニーズに応じて、小型バスのレンタル業を経て、貸切りバス事業、路線バス事業への展開していき、現在45期目に入りました。
昨今の状況を聞いてみると、他社同様コロナ禍の影響は大きく、大変な状況が続いていると言います。路線バスの乗客数の減少や観光自粛による観光バスのキャンセル等の売上の低下も去ることながら、バスの生産・販売が遅れていたりと車両の入れ替えにも影響が出ています。「厳しい状況が続く業種は多々あると思いますが、バス業界に対する公的支援金や補助金は多くはありません。貸切りバス事業に関してはこの状況をどう乗り切るかが今後の鍵になってくると思います。」と同氏は話します。
地域を支える「路線バス」
このような状況下にあっても「路線バス事業」が同社の下支えとなっています。
同社は現在4線(一般バス3線+コミュニティバス1線)を運行して地域住民の生活を支えています。中でも北総地域を運行する「生活バスちばにう」は、運賃が高いと言われる北総線に並走するように走り、「新鎌ヶ谷駅」から「千葉ニュータウン中央駅」、「印西牧の原駅」を繋いでいます。近年、印西市の人口は年々増加しており、特に若い世代からの人気が集まっていますが、電車賃の高さが問題視されていて、路線バスの需要は高まっています。先行き不透明な状況が続く中、安定的な利益が確保できることは精神的な安心にもつながります。また公共交通機関を運営していることは社会的信頼につながり、金融機関にも理解が得られやすくなってると言います。
子どもたちの思い出づくりの一助になる
コロナ以前の同社では鎌ケ谷市内の小学校を中心に、遠足・修学旅行等の貸切バスを請け負っていました。緊急事態宣言等を受けて一時は完全にストップしましたが、状況を見つつ再開する学校も出始めていると言います。「再開すると言っても、近場であったり、日数が短くなったりとまだ従来通りには至っていません。ですが、子どもたちの思い出作りの手助けになれたことは大変うれしいことです。子どもの旅行はとても大事な思い出になるので、出来るだけ実現してほしいと思っています。ですので、学校側にもギリギリまで判断をゆだね、前日キャンセルになったとしてもキャンセル費等は一切もらわないようにしています。」と朗らかに話されました。
雇用を守ること
最後に今後の展望について伺うと‶家業から企業への転換″だと話されました。「コロナが収束したときに、従業員がいなければ何もできません。そのためにも大変な状況でも雇用を守り、会社を会社らしくする基盤づくりが重要だと思っています。幸い、同友会や商工会の仲間が助け励ましてくれるので、大変な状況が続いてますが、自然と前向きに考えられます」。自然と周囲が手を差し伸べてくれる環境に同氏の常日頃の人柄が伺える訪問となりました。
(事務局 関根)
◆会社概要…事業内容:一般貸切旅客運送事業・一般乗合旅客運送事業・特定旅客運送事業・国内旅行業 所在地:鎌ケ谷市軽井沢2007 資本金:4,800万円 従業員:25名(内パート・アルバイト3名)