【会員企業の取り組み事例withコロナ】半世紀先を見据え、家業から企業へ~社員が長く働いていてよかったと思える会社に
(株)長福 専務取締役 堀木 修吾氏(浦安支部)
道路のアスファルト舗装を主とした土木業を営む同社。1970年(昭和45)年に堀木専務の親戚が、浦安市内でプロパンガス販売店として立ち上げました。4分の3程の面積が埋め立て地の浦安市は、1965年頃から海の埋め立て事業が始まり、急速な住宅の建設に伴い、プロパンガスの需要も増していきました。しかしその後は都市ガスの整備が進んだことで、ガス等の配管工事を手がけるようになりました。そして紆余曲折があり現在の事業へと移行していきました。
当初は土木の管理業務だけでしたが、1994年には自社施工も行うようになり、技術を磨き、地域になくてはならない企業へと成長していきました。
それを裏付けるものとして、千葉県が発注した工事で特に優良と認められる建設工事を表彰する「千葉県優良建設工事表彰」を2013年度、2016年度、2020年度に受賞しました。
学び、成長することで、やりがいも増す
堀木専務は、地元の大学に通いながら、2000年にアルバイトとして入社しました。昼はスコップを持ち、夜はペンを持つ生活を続ける中、自分が手掛けた道路などのインフラ工事が人々の生活を支え、街に残り地図に残ることに、大きなやりがいを感じ3年後に正社員になりました。
2018年に専務取締役に就き、営業や見積全般、また採用等を担うようになり、会社を支える屋台骨として活躍されています。アルバイト時代から現在に至るまで、市内の各種団体で培った経験が自分の成長へとつながり、会社の成長にもつながることにやりがいを感じ、これからも成長し続けたいと話します。
そんな堀木専務は昨年、同友会に入会されたばかりですが、沢山のメモを取りながら熱心に学ばれているのが印象的です。
自ら考え行動し、成長できる仕組みを
積極的に若い方を採用してきた同社の現在の社員平均年齢は35歳程です。即戦力ではなく、チームワークを大事にする社風に馴染めるかを採用基準にしています。最近では女性の技術者も採用しました。
これまでの教育方法は、現場での先輩から後輩への技術指導でしたが、自ら考え行動し成長できる仕組みを構築し、実践しています。今までは事前に堀木専務が算出した実行予算通りに現場を収めていましたが、若手社員自らが細かな実行予算を算出し、中堅社員の指導の下、現場を収めていく手法を取り入れました。堀木専務は「自らが算出した実行予算で現場が進み、1つ1つの現場をしっかりと収めることで自分の成長が実感できる、それこそがやりがいにつながる」と強く話します。
言葉だけではない「社員の家族も社員」
同社では「社員の家族も社員」という考えから、社員の家族に対しての福利厚生を行っています。例えば、一泊二日の社員旅行にも家族の同伴を歓迎したり、会社が用意した外部の福利厚生サービスに家族も登録できたり、インフルエンザ予防接種を家族含め可能にしています。また、コロナ感染時の病欠の際には100%の給料補償を行いました。このような取り組みの結果、ここ5年は離職がありません。
現在、千葉県と浦安市からの仕事も多いですが、今後は民間請負工事も増やしていきたいと話します。ただ民間の場合は、材料費の高騰分を価格転嫁できず、利益を確保するのが年々厳しさを増しているとのこと。自社だけの取り組みでは難しいので、業界全体で考えていかないと、土木業の担い手が益々不足してしまうと堀木専務は危惧します。
半世紀先を見据え、家業から企業へ
現在同社には、これといった経営理念はありませんが、幹部達の想いは一緒で、「社風」として認識されていました。しかし、これからどんな時代になったとしてもブレない「長福魂」を自分たちで考え深め腹に落ちた経営理念をいま作成中です。
堀木専務は「見てくれではなく、社員全員と共有し、長くここで働いていて良かったと思える理念をつくりたい。ロマンは全て自社施工で行うアスファルト舗装工事。これからも浦安のために責任を持ってやっていきたい。そのためにも家業から企業へと成長していきたい」と力強く抱負を語りました。
(事務局 牧本)
♦会社概要…事業内容:土木工事業、道路舗装工事業 所在地:千葉県浦安市猫実2-20-45 資本金:2,000万円 従業員数:25名(内パート・アルバイトなし) 入会年:2022年