【会員企業の取り組み事例withコロナ】創業100年、歴史と人を継承していく~200周年を目指す河原工業のこれから
河原工業(株) 代表取締役 河原 正幸氏(市川浦安支部)
創業大正12年。河原工業は歴史の変化に対応した柔軟な経営手腕とブレない企業理念で、今年創業100周年を迎えます。現在は鉄道通信金物や照明、時計柱といった景観品の設計から製造までを手がけるシステム製品部、電力会社及び製鉄会社のプラント設備における電気・配管工事を行う電力設備部、ゼネコンの建設関係工事を行う建設部の3部門で構成されています。様々な変革を経てきた同社の取り組みを3代目である河原正幸氏に伺いました。
100年企業のはじまり
関東大震災が起きた大正12年。焼野原と化した東京が再興に向けて動き出すなか、墨田区亀沢の一角に前身である河原酸素工業所がありました。鉄工所としてモノづくりを極めていくなかで、現在同社の礎になっている鉄道会社や電力会社とのつながりが生まれていきました。昔のモノづくりは製品を取り付けるまでが一連の流れだったそうで、工事業にも徐々に手を広げていきます。
先代であるお父上の時、国鉄が分割民営化されたことをきっかけに工事部門の売り上げがダウンします。同時並行で進めていたケースウェイ(配線器具)を本格的に生産開始したことで事なきを得ましたが、改めてモノづくりへの集中、特に設計やシステムづくりの強化に取り組みます。今ではシステム製品部門は同社の主力部門として、技術やサービスの更なる向上が図られ続けています。
人が長く働ける会社づくり
同氏は幼少期から会社を引き継ぐことを意識し、いずれ来る経営者の責任や重圧を背負うためにも、若いころは様々な経験をしたと言います。そして28才の時に満を持して同社に入社、関連企業への出向や社内部門での勤務を経て、2011年に社長に就任しました。
同氏が重視しているのが〝社員が長く働ける会社づくり″。そのためには安定的は財政基盤が大切です。月次決算を社内で共有すると同時に、運転資金とは別に固定費の3か月分を現金で確保しています。大手相手の取引も多く、安定しており、設計やシステムづくりは技術専門サービスのため、付加価値も高いです。また公共性の高いモノづくりに関わっている誇りが社員のやりがいにつながっています。
好調に見える同社もコロナ禍では半導体不足や取引相手の予算削減で受注件数が飛び悩みました。苦境においても、企業理念にある〝社員および、その家族の生活の安定と向上を図る″のもと、同氏はボーナスを出す理由を探したと言います。まだ介護等の様々な事情でも働けるようにテレワークの導入も進めています。
歴史と人を継承していく
「自分は法令を遵守した労務環境の整備に注力しています。社員教育はまかせられることによる責任感と社員の自己研鑽に期待しています。社員にとって、神輿(社長)は軽い方が良いでしょう?」と朗らかに笑う同氏。100年企業の秘訣は、伝統の継承と堅実な経営基盤、地道な人づくりであるように思います。200周年を目指し、一歩ずつ前進する同社の発展に期待が集まります。
(事務局 関根)
♦会社概要…事業内容:トラフ橋その他架線金物製造、取付、管、鋼構造物工事等 所在地:本社:東京都墨田区亀沢4丁目15番3号 船橋営業所・工場:千葉県船橋市潮見町35番7号 資本金:5,000万円 従業員数:40名(うちパートアルバイト6名) 入会年:2003年