【会員企業の取り組み事例withコロナ】ハンドベルに愛情を注ぐ女性社長の想い

(株)奏音楽企画 代表取締役 藤田 美千子氏(鎌ケ谷支部)

藤田 美千子氏

 あなたはイングリッシュハンドベルを知っていますか?耳心地が良く人々の心に癒しを与えるその音色は「天使のハーモニー」と呼ばれています。音色を通して、人それぞれもっている昔の懐かしい記憶を思い出させ、涙を流してしまう人も多いのだとか。1つのベルで1つの音程を奏でるため、複数人で協力して音楽を作り上げる楽しみもある一方で、少人数では高度な演奏技術を求められます。シンプルながらも音色の豊かさと奥深さ、奏者次第で聴こえ方が変わる不思議な楽器です。その魅力に惹かれ、会社を立ち上げるまでに至った藤田社長を訪ねました。

 (株)奏音楽企画は、ハンドベル音楽の普及と、奏者の技術向上にむけた指導を目的に活動しています。同社は出張型のレッスンからイベントにおける奏者の派遣、企画運営まで一括して担います。また、同氏もソロ活動や他楽器とのアンサンブル演奏で多彩に活躍されています。演奏をする会場には、ホテルのロビーやチャペル、商業施設から地域の公民館や高齢者住宅など様々です。事業を続ける上で地域住民にも愛されるためには、たとえ小規模なイベントの依頼でも疎かにしてはいけないということでした。昨年、同社は法人化しましたが、個人事業の頃は思いつきのまま活動してしまったり、会場のレンタルなど様々な場面で制約があったりしたそうです。法人化をきっかけに、自身の理念や以前から行っていた地域ボランティアなどを会社経営にも結び付けるようになり、5年ビジョンを立てました。

 お客様との約束事として、リクエストにお応えした指導や演奏を大切にしていると同氏は語ります。たとえばレッスンの受講生には、音楽に初めて触れる方や楽譜が読めない方、短期間で受けたい方もいます。また演奏の出張依頼を受ける際も、曲目や演奏時間、観客も実際に体験できるのかなどといったクライアントからの様々な要望がありますが、どれも柔軟に対応しています。なぜそこまでお客様に寄り添った仕事ができるのか。それは純粋にハンドベルが好きで、この魅力をより多くの人々に伝えたい、そしてハンドベル奏者の活躍の場を広げていきたいからだと話します。その強い想いが同氏を突き動かしているのだと感じました。

 エンタメ業界にもコロナの影響は大きく、同社も出張依頼のキャンセルやコンサートの開催中止を余儀なくされました。しかし、クラウドファンディングを利用した配信コンサートの実現や、全国から受講生を募るためにプロのレッスン動画を定額制で見られる準備をいち早く進めました。コロナ禍という逆境を追い風に、今まで取り組めなかったビジネスにも手をのばし、ハンドベルの新たな可能性を見出しました。持続化給付金など国の政策も利用して、とにかく活動を止めないこと、続けていくことの重要性をコロナ禍で学んだと同氏は語ります。

 最後に、将来の展望を伺いました。「まだメジャーとは言えないハンドベルの音楽的地位の向上と、自分のようにハンドベルに夢を持つ人々を増やしたいです。そして、彼ら彼女らが奏者としてやっていくのなら自分はイベントの企画など裏方として支えていけるような体制もとっていけたら」というお話でした。ハンドベルの音色のように藤田社長のお話を聞くだけでも優しい気持ちになれる取材でした。(株)奏音楽企画と今後のハンドベル業界に注目が集まります。

(事務局 眞山)

♦会社概要…事業内容:イングリッシュハンドベルの指導、演奏、イベント企画 所在地:松戸市新松戸南1-411 従業員数:なし

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