【会員企業の取り組み事例withコロナ】“ものづくり日本”を取り戻す!ホールディングス化で後継者問題解消を!
東原産業(株) 代表取締役 豊田 直樹氏(千葉西支部)
東原産業(株)は金属加工のエキスパートとして、企画・設計から製作・配送まで担う「トータルコーディネート」企業です。4代目にあたる豊田氏は社長就任後、県内の製造会社2社をM&Aしました。中小企業の製造業を守るために必要なのは会社の組織化・ホールディングス化であると語る同氏に話をお聞きしました。
入社から継承への経緯
東原産業(株)は1970年に保険業として創業し、倉庫業を経て、現在の金属加工業へと事業転換していきました。豊田氏は大学在学中に会長(以降先代と表記)が経営していた別事業の飲食店でアルバイトしていた際、声を掛けられ東原産業(株)に入社。同社は当時、古き良き昭和の町工場としてアナログな手法で作業を行っていました。同氏はそこに着目し、CADシステム環境を整え、生産効率の向上を図ります。すると既存社員から評価され、商品の配達と営業を任されるようになりました。そして営業に必要な商品知識や金属曲げの技術、設計等ノウハウを身に着けていき、徐々に頭角を現していきました。
営業活動が円滑になると、受注が増えます。その多数の生産スケジュールや品質の管理を同氏が一括して行っていましたが、マンパワー頼りになっている現状に危機感を覚えます。
抜本的な改革が必要だと考えた結果、先代ととも第2創業として改めて「東原産業(株)」を2007年に設立し、同氏は専務取締役として迎えられました。そして生産管理システム等を導入し、更なる飛躍を果たしました。そして今までの貢献と前向きな姿勢が買われ、2019年に代表取締役に就任しました。
製造業の現状「後継者不足」
日本の製造業は衰退の一途を辿っていると言われています。「ものづくり日本を取り戻す」、それをスローガンに豊田氏は県内の製造業2社のM&Aに乗り出しました。「日本の製造業の小規模事業者は1998年から2020年にかけて約14万の事業所が減少しているという調べが出ています。淘汰の要因は国際競争力・人材不足も挙げられますが、技術力があるにもかかわらず、後継者不足で廃業を余儀なくされることも多くあります。これは国益の損失でもあります。後継者不足での廃業を解消する手段としてM&Aも一つの手だと思います」と同氏は話されました。
M&Aした会社は昭和から創業している歴史ある企業で、どちらも専門性が高く、ニッチ市場で戦える強みがあります。ですがその反面、昔の慣習などが根強く残っていました。同氏は東原産業(株)で培った組織づくりのノウハウやITの導入、社内研修などを取り入れ、意識改革を図っています。また同氏が2社に尽力するために、東原産業(株)は社員が自律的に動くようになり、協調性が増したと言います。
今後の展望
今後更なる人口減少が見込まれている中、労働力不足と後継者不足は喫緊の課題です。同社の目指すビジョンは「ホールディングス化」。採用やマーケティングを一括して行うことで事務手続き等の作業効率化を図り、各会社の資産等を管理することにより後継しやすい仕組みをつくろうとしています。そのために10年かけて組織、仕組みづくりをしていく計画だと話す同氏。前向きに将来を見据え、挑戦し続ける同氏の姿勢に感銘を受ける取材となりました。
(事務局 関根)
♦会社概要…事業内容:スチール、SUS、アルミ金属製品の設計・製造・販売 所在地:千葉市中央区出洲港15-27 資本金:3,000万円 従業員:56名(内パート・アルバイト14名) 入会年:2021年