【会員企業の取り組み事例withコロナ】ご縁が織りなす「美味しい」料理

(株)コトブキダイニング 代表取締役社長 菊池 寿人氏(千葉中央支部)

菊池 寿人氏

 「美味しい」を追求し続け、焼き鳥・とんかつ・ラーメン・イタリアンと多岐に渡るジャンルのお店を展開している菊池氏にお話しを伺いました。

始まりは千葉駅西口にオープンした焼き鳥屋

 同氏は高校卒業までを市原市で過ごし、その後は東京や新潟を転々としながら22歳の時に千葉へ戻ります。料理の勉強をしながら数々の飲食店で働き、30歳で独立し千葉駅西口にお店を構えます。30席ほどの小さな焼き鳥屋でしたが、人が人を呼び奥様と二人三脚で働き詰めの毎日だったと言います。

思いがけない怪我で生まれたご縁

 目まぐるしい日々を送る中、疲労がピークに達したのか足の靭帯を切ってしまい、厨房に立ち続けることができない状況に—。奥様から休みの提案を受けますが、借金返済のために働かなければならない気持ちとの間で葛藤します。考えた末、日曜日に思い切ってお店を休みにし、気分転換も兼ねて勝浦方面へドライブに出かけます。これがきっかけで現在も毎週日曜日は定休日にしているとのことです。

 ドライブで訪れた勝浦の朝市で新鮮な魚がお手頃な価格で売られていることに驚き、お店用に購入。料理として提供するとリピーターが続出しました。再び魚を仕入れるため勝浦の朝市へ赴きます。繰り返していくうちに魚市場の方との繋がりが生まれていきました。魚の次は新鮮な野菜を探すべく、農家の方との繋がりをつくり新鮮な野菜を仕入れることに成功しました。

生産者さんとの会話が新店舗のオープンへ

 その後、千葉駅駅舎の建て替え工事に伴い、お店を千葉みなと駅近くに移転することになりました。仕入先から余ってしまう鶏ガラを使ってもらえないかとお願いがあり、水炊きを新メニューとして追加。〆の麺が好評でラーメン店を新たに始めることを決意。ちょうどラーメン屋を閉店しようと考えている知り合いからお店を買い取り、リニューアルオープンします。麺だけでなくチャーシューも武器として販売していましたが、生産者の方から「この肉はとんかつに使うと美味しい」と言われ、試しにまかないで食べてみると従業員も大絶賛の味。ラーメン店に続いて、とんかつのお店をオープンしました。

コロナ禍で気づいたご縁のありがたさ

 将来イタリアンのお店を開きたいという社員の夢を叶えるため資金を調達し、茂原街道にある蕎麦屋の跡地に出店しました。都内なら1万円で食べられる料理を半分の値段で提供できるお店づくりに努め、茂原市と連携して地元野菜を使ったお店で一躍人気に。順風満帆かと思われた矢先にコロナウイルスが襲います。テイクアウトに挑戦するなど試行錯誤の日々を送りました。居酒屋は売上が大幅に下落するも、ラーメン店ととんかつ店は売上が伸び続けたそうです。「きっと居酒屋だけ経営していたら潰れていたかもしれません、たくさんのご縁に助けられて今があります」と話される姿が印象的でした。

和食文化を守る使命

 「困ったら助ける」を続けていたら今に至ったと話す菊池氏。これからはラーメン事業、ご飯事業に加えカフェ事業を新たに立ち上げて展開していきたいとお話しされました。また海外展開も視野に入れており、主に東南アジアへの出店を目指しているとのこと。ユネスコ無形文化遺産に登録されている和食。世界でも注目が集まっており、海外にも日本食のお店が数多くありますが、そのほとんどは日本人が関わっていないのが実情。和食文化を守るためにも一石を投じたいと語られました。

(事務局 松本)

♦会社概要…事業内容:飲食店 所在地:千葉市中央区千葉港7-1 ホテルテトラB1 資本金:900万円 従業員数:69名(内パート・アルバイト60名) 入会年:2022年

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