【企業訪問記withコロナ】知ってほしい、旅行業界のリアルな現在(いま)~雇用と地域を守り、安心な旅を提供したい

両総観光(株) 常務取締役 高橋 誠止氏(成田支部)

 両総観光(株)は1924年(大正13年)創業、歴史ある地元密着の旅行会社です。長い歴史と信頼が強みの同社は、役所や学校・組合・企業関係の団体旅行をメインに取扱ってきました。コロナで最も大きな影響を受ける業種の現状を聴かせていただきました。

 取材して最も伝えたいことは、旅行業界が受けている打撃は、私たちが想像する単純な「売上減」だけではないということです。「Go toキャンペーン」の際は、直前まで全貌が知らされず、始まってからは煩雑な申請手続きや度重なるガイドライン変更に翻弄されました。消費者にとっては恩恵の大きいキャンペーンですが、旅行業界への利幅は変わらず、一時的な立替金も大きくキャッシュフローに細心の注意を要したそうです。そして現在は、少しずつ再開している海外旅行の手配において、旅行者の隔離期間の手配、陰性証明書の取得サポートなど新しい業務が加わっています。まだ全体のフローが見えていないこともあり、手探り状態が続いています。

 それでも同社は雇用調整助成金や一時金も使いながら一人も解雇することはなく、2020年度は内定が決まっていた新卒者も予定通り雇い入れました。現在窓口業務の従業員は月4日、人事総務部門の従業員は月8日の出社としています。従業員の精神面のケア、モチベーション維持のために、会社の方針を丁寧に説明し社内コミュニケーションをとっています。

 コロナ禍では、自治体が発行するプレミアム商品券の事務局業務受託や、イベントの設営協力も請け負うようになりました。修学旅行が中止になった小・中学生向けに行われた成田空港発着の体験フライトでは、楽しい思い出作りと共に、航空・空港関連のキャリア教育にも寄与しました。こうした仕事はあくまで予備的な収益ではあるものの、地元への恩返しという側面も強く、これまで培われた同社のサービス力や、柔軟な対応力がそこに生きています。もとより顧客の求める複雑な旅程や、パスポートやビザの手続きにも応えるという、インターネット上の手配では得られないきめ細やかさと安心感が魅力です。同社はコロナという長いトンネルの先で、安心安全な旅のサポートをしていくために、全社一丸で立ち向かっています。

(事務局 菊池)

♦会社概要…所在地:成田市ウイング土屋256(本社:山武市松尾町八田166) 資本金:3,000万円 従業員数:53名 事業内容:旅行業・旅客運輸業・携帯メール連絡網システム代理店

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