自然派のハウスメーカーから求められる麻のカーテン〜リスクが強みに変わるモノづくり

コトワリデザイン(株) 代表取締役 松島 理氏(市原支部)

 大手カーテンメーカーに勤めた後、2013年に30歳で独立した松島さん。お子さんがアトピーだったこともあり、麻などの自然素材を使ったカーテンのお店を始めました。

 現在、市場で販売されているカーテンの90%以上がポリエステルなどの化学繊維でつくられていますが、それだと子供の肌がかぶれてしまうので自然素材のカーテンを探していました。しかし取り扱っている会社は日本にはありませんでした。「同様に化学物質過敏症の方で困っている人がいるのではないか」。この経験と想いが麻のカーテンを取り扱うきっかけでした。

 麻は化学繊維には出せない独特の自然の風合いと温か味があり、その特徴を生かしてデザインされた自社ブランド「natsusobiku」(夏そびく)は、ナチュラルテイストの家を手掛ける中小のハウスメーカーから、モデルハウスに使いたいと依頼が多くあります。また、そういったハウスメーカーをとおして麻のカーテンを求める一般の方も増えています。

 麻は伸び縮みしやすい性質上、時間が経つとサイズが変わってきてしまう特性があります。一般的には、即クレームになってしまうので、他のメーカーは取り扱いません。しかし同社は、自然のものだから伸び縮みはあたり前、それが自然素材だと言い切ります。お客も事前にそれを理解した上でオーダーします。また、その特性上、つくるのには技術が必要で、それが参入障壁にもなっています。

 松島さんには一つの想いがあります。それは「モノを大切にしたモノづくり」です。一枚の生地から寸法に合わせてつくられるカーテンは、残布が大量に発生し、通常は廃棄されてしまいます。前職のカーテンメーカーでそれを見てきた松島さんは、残布を生かしたモノづくりをしたいという思いがありました。

 「モノを大切にする気持ちを育みたい」と、植物染料で残布を染めたり、縫製したりするワークショップを開催しその想いを広げると同時に、自然素材のカーテンを知ってもらう努力をしています。

たとえ経営上リスクが高い事業であっても、そのものの良さや価値観を広げたいという経営者の想いがあることで、リスクが他社にはない強みに変わっていくことを教わる今回の訪問となりました。

(事務局 牧本)

◆会社概要…所在地:千葉市緑区誉田町1-297-3グランメール1F 資本金:300万円 従業員数:2名 事業内容:インテリア製品の企画・販売

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