運送業における社員の安心と定着をめざして ―タコグラフの進化系「運転時計」

菱木運送(株) 代表取締役社長 菱木 博一氏(八街支部) 

 企業の法令順守(コンプライアンス)を求める声がますます高まる運送業において、先進的にその取り組みを進め、2011年に「厚生労働大臣表彰優秀賞」を受賞した菱木運送㈱を訪ねました。

 1971年に創業し八街市で貨物自動車運送事業を営む同社。現在代表を務める菱木博一さんは、先代である父親の後を2000年に引き継ぎました。

 運送業や旅客運送業の相次ぐ交通事故により法令順守の厳格化がここ数年高まっていますが、同社は10年前以上から法令順守、とりわけトラック運転手の労働環境整備に努めてきました。その具体的な取り組みが「運転時計」です。これは同社と協力メーカーで独自開発した個々の運転手の運転時間や休憩時間などが自動計算されるシステムです。以前より「タコグラフ」という走行時間や走行速度などの運行記録を自動的に記録するシステムがあり義務化されてきました。しかし、一定の運転時間を経過すると休憩時間、休息時間、勤務間のインターバル時間などの取得が発生します。行政より「改善基準告示」として定められており、その計算は複雑で守られていないのが業界の実情です。運転時計はタコグラフの情報をもとに自動計算されるシステムです。計算された各種時間はディスプレイに示され運転手自身が確認でき、自主的に休憩などをとります。

 タコメータは結果に対して後から指導するもので運転手にストレスをあたえてしまいますが、運転時計は面倒な計算を代わりに行い運転計画を行うので、運転手をサポートします。

 「ただでさえ運転手には過度なストレスがかかっているのに、更にストレスをあたえてしまっては、運転手の成り手がいなくなって業界自体成り立たなくなってしまう。運送業は過労で事故が起こり危険というイメージがあります。それを払拭していくためにも自社の取り組みは、ますます重要になっていきます」と菱木社長は強く語りました。

 多くの業界で人手不足が続き、それを理由とした倒産が増えています。こうした喫緊の課題に対して、10年前以上から取り組んでいる菱木社長に誠実さと先見性を見る訪問となりました。

(事務局 牧本)

◆会社概要…所在地:八街市八街い27-3 資本金:2000万円 従業員数:55名(うちパート16名) 事業内容:一般貨物自動車運送事業、倉庫業