【会員企業の取り組み事例withコロナ】人とのつながりを大切に、伝統食文化を未来に伝える

(株)西川園 代表取締役社長 西川 賢太郎氏(つくも支部)

西川 賢太郎氏

 (株)西川園は、東金地域を拠点に明治8年の創業以来、147年にわたり日本茶や海苔、乾物などの地場産品を取り扱う長い歴史をもった小売卸業の会社です。直営店は千葉・茨城を合わせて9店舗あり、また商品は県内の業務用スーパーなどにも置かれ、さらにはインターネット販売も取り入れながら幅広く事業を展開しています。今回は5代目となる西川社長を取材しました。

(株)西川園の歴史と理念

 明治期、商業の中心地であった東金に茶舗西川園として初代 西川善蔵氏が創業して以降、「いつもいいお茶と暮らしたい」をモットーに、伝統に裏打ちされた自然の香りと味、文化を発信し続けています。同氏は、代々受け継がれてきた経営理念を大切にしています。それは、人とのつながりを大切にし、食卓に欠かすことのできないお茶や海苔などの伝統食文化を未来に伝え続けることで、人々の健康や豊かな食生活を守るというもの。そのためには、第一にお客様、取引先そして従業員からの信用をいかに得られるかが重要だと同氏は話します。変化する時代のニーズをいち早く拾い上げ、信用できる商品やサービスを提供し続けることで関わる人々の笑顔や幸福に貢献していきたいということでした。また、現在の自分は、関わって頂いた多くの人々から受け取った恩の上に自分の今があるので、感謝の気持ちを忘れず、人の喜びが自分の喜びだと思うことを大切に、社会や出会う方々にお返ししていきたいそうです。同社は従業員の定着率が高く、西川氏は「地道な商売ではあるが、地域のお客様との関わりが多いため、皆さんのやりがいになっているのだろう」と語ります。代々受け継がれてきた歴代社長の「信用」を大切にする想いが浸透して社風になっているのだと感じました。

店内の様子

コロナ禍でも負けない攻めの経営

 コロナ禍で人の動きが減ったため、お土産やお中元・お歳暮などのギフト商品の売上が下がりましたが、商品のポップを目に留まりやすいものに変更したり、独自の仕入れだからこそできるお買い得価格での商品の山積みセールをしたりと、同社は「待ちの商売」から「お客様から積極的に立ち寄ってもらえる商売」へとシフトしました。また、例年、春に行われる新茶の詰め放題が人気を博しますが、対面での販売が難しいという理由で今年は行えませんでした。そこで、代わりに茶葉と缶を別々にして販売したことが反響を呼んだのだとか。このように、先を見据えて商品を展開したことで、下がるはずだった売上をカバーすることに成功しました。

5代目としての想いと新たな取組み

 会社を存続させて未来につないでいくことは、5代目として当然に求められることで、大きな責任が伴います。しかし、自分が社長の間に出来ることに挑戦しようというチャレンジ精神をもって同氏は経営を進めました。新たな取組みとして、日本茶インストラクターの資格をもっていたことから、お茶の淹れ方教室を開催。若者を中心としたお茶離れ、急須離れが進む中で、老若男女多くの人々にお茶に触れてもらえる機会をつくりました。また、10年前からはPOSレジを導入したことで、在庫管理や売れ行きの分析、従業員の勤怠管理などを容易にし、社内改革に努めました。このように広い視野をもって取り組まれている理由について同氏は、西川園らしさは守りながら、変えていくこと、そして新しいものを取り入れていくことで信用を裏切らず、多くの喜びをつくっていきたいと語ります。

 最後に今後の展望を伺いました。人手不足や消費量の低下が問題視される中で、全国の農園を守り、日本と世界に伝統食文化を発信し続けることが私の人生の使命だとお話されました。東金市を訪れた際は、西川園にぜひお立ち寄り下さい。

(事務局 眞山)

♦会社概要…事業内容:茶・海苔・地場商品の小売卸業 所在地:東金市東金1204 資本金:1,000万円 従業員:61名 運営ページ:http://www.nishikawaen.co.jp

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