【会員企業の取り組み事例withコロナ】つくり手のワクワクがそのまま住む人のワクワクに~「三方よし」の家づくり

(株)STUDIO NEMOTO 一級建築士事務所代表
根本 雅圭氏(東総支部)

根本 雅圭氏

 東総支部で香取地区リーダーを務める若手経営者、(株)STUDIO NEMOTO 一級建築士事務所の根本社長を訪問しました。同社は香取・佐原地区で注文住宅の設計・施工を完全オリジナルで手掛ける工務店です。

家づくり一筋、がむしゃらな20代

 もともと棟梁になるのが子供の頃からの夢だったという根本氏。18歳で大工となり、技術を磨いてきました。様々な現場を施工する中で設計の分野にも興味を持ち、建築士の勉強を開始。20代後半の青春時代を、昼間は現場で働き、夜は夜間学校に通い、夜が更けるまでファミリーレストランで勉強するという生活に捧げました。その苦労は並大抵ではなかったはずですが、「夢中だった」と根本氏は話します。そして努力が実り一級建築士と一級大工技能士の資格を取得。両方を取得することは珍しく、30歳で独立開業を果たしました。

設計と施工が一体化した家づくりの強み

 設計と施工に精通し、一気通貫で行える技量が独立後の強みとなっていきました。同社が手掛けるのは1軒ごとに全く違う注文住宅ですが、設計段階で顧客の要望をどの技術・どの材料を使って実現するかという提案の幅が広く、建築現場での実現性を計算することが可能です。そして家の構造がスケルトンのようにわかるため、工事のムダをなくすことができます。根本氏は自身が現場を任せるようになっても、この強みを保つため、妥協することなく職人や従業員を時間をかけて育ててきたといいます。

「高品質で安く」を実現できる理由

 この「考え抜かれた設計、技術が結集した家づくり」は口コミだけで広がっていきました。通常住宅業界では、家を一軒売るために莫大な広告宣伝費をかけるのが慣習となっていますが、同社は広告宣伝費がゼロのため、全体のコストを抑えられ、価格面でも優位性を築いています。大手ハウスメーカーと比べると同価格でも2ランク程度高い施工が可能となり、顧客に喜ばれているのです。

地元資源である「香取杉」にかける想い

木材と樹脂の組み合わせで川を演出

 「木を感じる、魅せる家づくり」にこだわりがある同社は、木材の可能性や新しい工法にも積極的です。STUDIO NEMOTOの事務所内で目を引くのは、木材とエポキシ樹脂を組み合わせた艶のある床。素材同士の良さを引き出して、屋内にまるで「川」を演出するかのような大胆で面白い技法からは、チャレンジ精神や家づくりのワクワク感が伝わってきます。

 また、ウッドショックや円安の影響で輸入木材の価格が以前の3~4倍に高騰する中で、地元香取市の「香取杉」に着目した根本氏は、現在木材の加工工場を建設中です。香取杉は他県のブランド杉に引けを取らないほど品質が良く、高付加価値の家づくりに適しているそうですが、林業の衰退や材木問屋の後継者不足などによってその価値が生かされていません。同社では材木工場をつくり、香取杉を自社で使うだけでなく、他社に提供していくことも構想しています。ゆくゆくは家にとどまらず「家具までつくることができたら、本当にフルオーダーで顧客の望みを叶えられる」と夢が広がります。

香取杉を使った家づくり(内装)
香取杉を使った家づくり(外観)

 地域の資源を生かし、高品質でお客様にも喜ばれ、新規事業展開でさらなる発展を遂げていく。まさに「三方よし」の家づくりに今後の可能性を感じる取材でした。

(事務局 菊池)

会社概要…事業内容:建築設計業、一般建設業 所在地:香取市佐原イ340 資本金:300万 従業員数:5名 運営ページ:https://nemotok.jp

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