【企業訪問記】県「働き方改革推進事業」を活用し、社員が成長を実感できる仕組みを
上村建設工業(株)
代表取締役社長 上村 英生氏(手賀沼支部)
国道16号側から手賀沼を渡り、車を走らせるとほどなくして見えてくる我孫子市の天王台駅。その駅前に本社を構え建築工事の請負を主として行う上村建設(株)を訪ねました。
1930年(昭和5年)に創業し、まもなく1世紀を迎える同社の始まりは、現社長の曽祖父が新潟に立ち上げた材木店。4代目社長の上村英生氏は1996年に入社すると同時に、ホテル事業(ホテルマークワン)の立ち上げを任されました。立ち上げ時には様々な助成金の存在を知り有効に活用し、最近ではモノづくり補助金を受給するなど開業以来約4500万円の助成金を受給してホテル経営に役立ててきました。「助成金は新規創業、IT投資などと取得できるものは沢山あります。各種助成金が求めているストーリーに沿って申請書を作成することが大事。大学では法学部だったので申請書作成は苦にならないし、助成金を会社の利益と捉え、逆算して助成金の20倍の売上を計上したと考えています。そう考えると提出書類が多くても頑張れます」と上村氏は話します。
また、上村氏は組織経営をめざして、本社では会議を定期的に開き情報共有を図ったことで、社員から提案があがるようになりました。同時に労働環境整備も進め、労働時間の短縮、昇給制度の整備などを行い組織改革の風土が定着していきました。
更には、入社7,8年目の中堅社員が辞めてしまう現状に危惧して昨年、千葉県が県内企業の働き方改革の取り組みを支援する「働き方改革推進事業」よりアドバイザーを派遣してもらい、社内を見直しました。社員自身が成長の実感が乏しいことに退職の原因があるとの分析から、会社として身に付けてほしい能力や仕事が書かれた表を作成。社員は自分に今何が出来て、何が足りていないのかを確認できます。また、幹部社員もその表を活用して客観的に社員を公正に評価できるので、昇給の判断に活用しています。
ホテル事業では、従業員満足度調査(アンケート)を行い、非正規従業員が多い職種として平均65点が付けば良いとされる中、64点でした。しかしある従業員から始業前点検作業が就業時間に含まれていないとの記述がありすぐに改善しました。
最後に今後の抱負を伺うと、「同族以外の方から引き継いでみたいと言われる会社にしていきたい。そのためには誰が引き継いでもお客や社員が満足できる“仕組み”を更に構築していく必要がある」と力強く語られました。
(事務局 牧本)
◆会社概要…所在地:我孫子市天王台1-24-10 資本金:5,500万円 従業員数:15名(うちパート・アルバイト3名) 事業内容:民間のマンション・商業ビルの建築工事、公共工事