【企業訪問記】親子2代、伝統と革新が織りなす「居心地のよい」お寿司屋さん

(有)寿司の磯一 代表取締役 境堀 孝一氏(東葛支部)

 JR南柏駅から麗澤大学に向かう住宅街の中に「すしの磯一」はあります。一見すると敷居の高そうな落ち着いたたたずまいですが、引き戸を開けると温かみのある木の感じや、壁一面のメニューの写真、明るいBGMとお客様の談笑する声がくつろぎを与えてくれます。

 高校卒業後、ご両親が営んでいたお店を「なんとなく」手伝うようになったという境堀氏。しかし、決して楽ではないお店の経営状況を目の当たりにし、一旦は別の飲食店で経験を積むことに。厳しい修行に耐え、料理の腕前をあげて家業に戻り「美味しいものをつくればお客さんが来るはず」と思っていましたが、思うように結果が出ず、悶々とする日が続いたそうです。

 そこで境堀氏はマーケティングの勉強を始め、わかりやすいメニューや手書きのPOP作成、BGMの選曲、料理に合うお酒の提供など、できることを次々に実践していきました。それまで酒造メーカーのポスターしか貼っていなかったという壁面には、魚の部位の説明や、お店のオリジナルTシャツなど、お客さんの目を引く様々な工夫が凝らされています。あたたかい接客も手伝って自然と客単価が上がり、売上は3倍に伸びました。

 境堀氏が改革を始めた時、何も口出ししなかったというご両親。「お店を盛り上げてくれるのであればありがたい。自分がやらなくていいんだから(笑)」と語るお父様から、信頼関係が伝わってきます。

 現在ご両親の他に2名の従業員が働いています。1名はもともと磯一の常連さんで、両名とも調理の経験はなかったそうです。しかし今やメニューの考案をするまでに。「お店にとって人は宝です。いずれは年老いた両親に代わってきちんと料理を提供できること、お客さんの引継ぎができることが大事だと考えています」と話す境堀氏。「社員は自分の子供と思うぐらいでなければ、本当についてきてはくれない」という考えが根底にあるそうです。

 今後の夢は、常連だけで毎日満席になってしまうお店になること、そしてあふれたお客さんのために柏駅前にもう一店舗出店すること。磯一を愛する人たちが紡いでいく、これからの物語が見えるようでした。

(事務局 小山)

◆会社概要…所在地:流山市向小金4-21-79 資本金:500万円 従業員数:5名 事業内容:すし店、出前