【輝く中小企業の取り組み】敬意を塗り重ねて~唯一無二の塗装を生む、職人の信念~

ミライカナイ 代表 金井 隆司氏(船橋東支部)

金井 隆司氏

33年続けている塗装のお仕事のきっかけ

 学生時代の家庭環境はあまり良くなく、高校にもろくに行かずに友達とバイクで遊んで回っていたそうです。そのグループのリーダーの子の自宅がペンキ屋で「一日働けば1万円あげるよ」と言われ、「30日働いたら30万じゃん!」と思って働き出しました。当時はバブルがはじけてまだ3、4年位で、まだまだ仕事はあり、景気もその残り香でよかったので、16歳のあんちゃんも、それくらいもらえた時代でした。そして16歳に入社して2日目に遅刻し、置いていかれました。建設現場は8時に朝礼があるので、東京の現場に行くとなると、起きるのは大体5時半とかになります。そこで、早速寝坊してしまい置いていかれて、周りからは「やる気あんの?」という反応でした。

 そんな私でも3年もやっていると仕事の流れも覚えました。当時、一緒に組んでいたおじさんが前日に飲み過ぎて現場に来ないことが多かったので、自分がしっかりしなきゃと思って、その人の代わりに打ち合わせに参加したり、その人が普段つけてる日報を何回か書かされたりしているうちに、現場の流れが大体分かるようになりました。「お前、現場できんじゃねえの?」と言われて、19~20歳位の時に現場を任されるようになりました。各工事現場にそれぞれ2カ月、3カ月位の単位でずっと通い続けて、終わったらまた次の現場に行く、という流れで動いていました。現場監督というよりかは、監督さんと作業する人とのつなぎ役みたいな仕事をしていました。

モルタル造形

ミライカナイの工夫

 自社で施工するモルタル造形が、大きな強みです。モルタル(コンクリート)でゼロから形を作り、削り出すことで、木やレンガのような質感を表現します。木材では防火基準が厳しくなりますが、コンクリートは耐火性が高く、アンティーク品を輸入するよりもコストを大幅に抑えられる。合理的でありながら、職人の手仕事だからこそ生まれる仕上がりです。

 住宅塗装にモルタル造形を組み合わせている会社は、ほとんどありません。だからこそ、「自社でなければできない」という差別化になっています。お客様のイメージをもとに私がスケッチを描き、すり合わせながら仕上げるオーダーメイドの仕事です。中学生の頃に抱いた漫画家への夢が、今の仕事に確かに生きていると感じています。

職人と技術の軽視について

 モルタル造形をはじめ建築作業には、相応の手間と時間がかかります。職人がその効率を高め、「高品質な仕上がりをより早く実現できること」は、何度も何度も反復し、嫌になるほど繰り返して初めて身につく、大変な技術です。

 しかし、その技術を「これだけ早くできるなら、もっと安くできるはず」と元請け側に逆手に取られ、値下げ要請を断れない風潮と、中抜きの横行する多重の請負構造が、昨今の職人軽視・労働環境悪化の大きな原因の一つだと思っています。建物は災害から身を守る最後の砦です。それを手抜きが発生しやすい構造に追い込むことは、社会全体にとって危険なことです。

 一方で、世間の意識も変わりつつあると感じています。AIの時代になり、頭脳的な作業はAIが担えても、職人の技術はAIには代替できないことが、より鮮明になってきました。ブルーカラーが脚光を浴びる時代の到来を、私は肌で感じています。

『リスペクトオール(すべてに敬意を)』

 誰に対しても絶対悪口を言わないと決めています。『言わない』という自分にコミットして、日々過ごすのが行動の要になっています。指針セミナーで決めた理念は、自分の人生理念と経営理念が一致していて、『リスペクトオール(すべてに敬意を)』です。私の生き方であり、経営の大元・基礎だと思っています。敬う気持ちをすごい大切にしたくて、私も不完全、相手も不完全ということを意識しています。

 今期には法人化を目指しているそうです。これからもミライカナイだからこそできる塗装が、多くの地域を彩るのを見るのが楽しみです。

(事務局 高橋)

♦会社概要…事業内容:建築塗装全般、リフォーム、モルタル造形、特殊塗装 所在地:船橋市二和西4-26-9 従業員数:2名 資本金:600万円

Follow me!