【輝く中小企業の取り組み】社員と共に地域のインフラとして
(株)ODEN 代表取締役 野澤 智一氏(茂原支部)

県都千葉市と外房と地域の中間に交流都市として位置し、日本でも有数の天然ガス産地として知られる茂原市。その茂原市と周辺地域にセブンイレブンを5店舗経営する(株)ODENの野澤社長を訪ねました。
アルバイトで貯めた資本金

野澤氏は高校を卒業後、専門学校を入学まもなく中退。親への申し訳なさから家に戻るわけにもいかず、持っていた中古車で車中泊をしながら、牛丼チェーン店でアルバイトをするところからスタートします。アルバイトをしてしばらく経つ頃、ローソンで楽しそうに働く老夫婦オーナーと出会い、その姿に憧れてコンビニオーナーを目指すようになりました。そして23歳の時、アルバイトで貯めた資本金1,000万円を持ってセブンイレブンのオーナーとなり、1店舗目である茂原吉田店をオープンしました。
商売の原点・フランチャイズ本部との衝突
その後も2011年に2店舗目、2015年に3店舗と順調に出店を進めていきますが、この3店舗目の売上が思うように上がらず、思い悩みます。その時に出かけ先のテレビ番組で「行商のおばちゃん」を見かけて、地元の高齢のお客様を思い出し、これからは店舗で待っているだけではなく、移動が困難なお客様のもとにこちらから出向こうとセブンイレブン商品の移動販売を始めました。これは高齢のお客様に非常に喜ばれた反面、フランチャイズ本部からは1社だけ独自サービスを行うことは認められないと衝突することに。
山間地域と比べれば商業利便性の高い地域ではありましたが、それでも車移動が難しい高齢者は多く、軽トラックに毎回違う商品を積み、セブンイレブンの看板は使えないため手作りのトラックで移動販売を続けました。並行して粘り強く移動販売の価値を本部と交渉を続けて10年目、この移動販売事業は公認となり、今では全国で100台の移動販売車が稼働しています。
学びの上辺だけを取り入れてしまうと
ちょうど既存店に追加で近隣のオーナーから店舗を譲り受けた頃、千葉同友会の青年部ではプレイングマネージャーを脱却し、社長が不在でも会社が回る仕組みを学ぶ例会をシリーズで行っていました。野澤氏もその多忙さと一人で複数の店舗を見ることの難しさから、これだと思ってすぐに取り組みます。しかし十分な仕組みづくりや企業文化の醸成もないまま、ただ社員に任せてしまい、結果としては各店舗の売上減少やスタッフの離職に加えて、横領などの犯罪行為を許す環境にしてしまいました。学びの上辺だけ、聞こえの良いところだけを取り入れて、社員を機械のようにとらえて、ただ指示に従っていればいいと考えていた自身の驕りを深く反省します。
そんな折、新型コロナウイルスの感染拡大により環境は一変します。同友会でいち早く例会をZoomで行っているのを見て、これをうまく使えないかとLINEのビデオ通話機能で朝9時に全店舗をつないで毎日ビデオ通話で15分ほどの雑談を始めました。この雑談のおかげで、各店舗のスタッフ同士も日常的に近況が知ることができ、また経営者自ら店舗に立って率先して売り場を盛り上げることで社員の士気も上がり、売上を戻すことが出来ました。
同友会は鎧を脱げた人こそ伸びる
実は入会してすぐに経営指針セミナーを受講し、経営指針書を作っていたのですが、その勢いで社内で経営計画発表会をしたらスタッフ2名が退職したことがトラウマで、しばらくやれていませんでした。今見返すと社長一人で作った「格好いいことだけが書いてある指針書」でしかなかったと自嘲気味に話します。
しかしある時、同友会に誘った後輩の社長から、経営計画発表会に来て欲しいと誘われて行ってみると、社長は格好悪かったですが、社員は活き活きとしていた発表会に衝撃を受けました。先輩からよく言われていた「同友会は鎧を脱げた人こそ伸びる」という言葉を思い出し、以前の反省を踏まえて社員と一緒に、月2回の会議で半年かけて経営計画を作成し、経営計画発表会を行うようになりました。また従業員がずっと働き続けられる環境を整えるべく、就業規則の見直しも都度行うようになりました。直近の経営計画発表会で公開した2050年ビジョンでは、国内100店舗に加えて、主力スタッフの母国であるネパールにも1号店を出す絵を描いています。
(事務局 田中)
♦会社概要…事業内容:コンビニエンスストア(食料品、酒類、たばこ、日用品、雑貨類の小売販売) 所在地:茂原市南吉田2980番地 従業員数:81名(うちパート・アルバイト76名) 資本金:1,000万円 入会年:2015年


