【輝く中小企業の取り組み】豚3頭から始まった養豚農家から企業への改革
(株)ジェリービーンズ 専務取締役 内山 裕貴氏(東総支部)

豚3頭、6Kから始まった養豚場
本社を千葉県香取郡多古町に置く同社は、養豚から加工、販売までを手がけており、自社ブランド豚「元気豚」を一貫生産しています。従業員は総勢100名おり、地域の雇用を担っています。
創業は1979年、1992年に法人化。2018年に内山専務が入社し、2019年から新卒採用、経営理念の確立、自社製品のリブランディング化などに取り組んできました。
創業者の現社長は、農家の息子として、親から3頭の豚を与えられたことから養豚への道を歩み始めました。当初は夜の空港でアルバイトをしながら豚の餌代を稼ぎ、少しずつ規模を拡大してきました。当時の養豚業は、6K(きつい、汚い、臭い、危険、結婚できない、稼げない)と言われていましたが、「養豚であっても、安定した利益を出せる仕組みさえつくれば、雇用を確保し、休みも取れる。設備投資をすれば、くさい、汚いなどのマイナスのイメージだって払拭できる。」という強い信念を持ち経営をしてきました。

6次産業化で付加価値を生み出す
同社は、生産から加工、販売までを一貫して行っており、いわゆる「6次産業化」による強みがあります。自社で育てた豚を直接お客様に届けたいとの想いから、食肉加工工場(JBミートセンター)、お肉の工場直売所を立ち上げました。自社の加工工場で製品化し販売することで、自社ブランドのさらなる普及と産直対応による顧客の創造により、より多くの方へ自社の豚肉を届けられるようになりました。


現在は焼売、チャーシューなどの食肉加工品も製造し、約50種類の自社製品や委託加工をしており、農場HACCP、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)などの認証を取得するなど、品質管理体制を強化しています。


地域社会との関わり
養豚業界は、農家数の減少と経営の規模拡大が同時に進行しています。千葉県は全国で4番目の豚産出額で、日本の食料自給率維持に重要な役割を果たしています。しかし、飼料の99%を輸入に依存しており、為替変動や国際情勢に大きく左右される構造となっています。
そんな中でも、地元の保育園・小学校での食育活動、豚から出る糞尿を堆肥化し、地元の農家へ無償提供するなど、養豚事業をとおして、地域になくてはならない企業を目指して、地域社会と共生することを大切にしています。
自らの言葉で理念とビジョンを共有する
内山専務は同友会に入会してから、他業種の取り組みを聞いて勉強する中で、どのように人を育成したら自走し続ける組織づくりができるのか、ずっと模索してきました。特に2018年には、日本人従業員が半年間で6名退職し、入社したばかりの内山専務は、外国人従業員から仕事を学ぶという経験をしました。この経験が、組織づくりと人材育成の重要性を強く認識するきっかけとなりました。
2019年から新卒採用を本格化し、組織体制の明確化、完全週休2日制の導入、有給休暇の計画的取得、人事評価制度の整備など、当時の養豚業界ではできていなかった働き方改革に取り組んできました。しかし、それでも入社した社員の定着率は上がりませんでした。内山専務は、ふり返って「自分自身の人生の目的や理念が定まっておらず、会社の理念も自らの言葉と行動で語ることができていませんでした。また、自分が業界での経験が少ないから、入社歴が短いから、という理由で、行動に『遠慮』というブレーキをかけていました」と話します。
その反省から経営方針発表会の内容を一新し、経営理念に基づいた自身の想いを『本音、本心、本気』で熱意をもって伝えるようになったところ、数名の社員の共感を得ることができ、組織に一体感が生まれるようになりました。
自らの言葉で理念とビジョンを共有し、従業員の成長と会社の発展を両立させ、更なる高みを目指す内山専務の取り組みに、地域と業界から注目が集まります。
(事務局 牧本)
♦会社概要…事業内容:自社ブランド豚・元気豚の生産、加工、販売 所在地:香取郡多古町染井984-7 従業員数:105名(内パート・アルバイト78名) 資本金:5,733万円 入会年:2024年



