【企業訪問記】会社の垣根を越えて、この商売を守る

(有)酒巻新聞店 代表取締役 酒巻 奉和氏(北総支部)

 住宅がきれいに立ち並ぶニュータウンの印西市木刈、その中心に位置する情報発信拠点、(有)酒巻新聞店を訪ねました。酒巻氏は大学卒業後、すぐに現在の新聞販売店に入社し、この道一筋でやってきました。2010年に代表に就任して現在9期目、承継当時は38名だった従業員も、我孫子にある販売店の経営も引き受け現在44名に。すぐそばに他紙の販売代理店があったので、地域でのシェア競争について伺うと、最近はあまりないとのこと。読まない人はどの新聞も読まないし、読む人はこの会社の記事が読みたいというものが確立しているからだそうです。

 ニュータウンということもあって宅地開発がどんどん進み、以前は野原だったところが住宅地になり、配達エリアはどんどん広がります。それに伴うコスト増には、なんとライバル店である隣の他紙販売店と協力して、丁目ごとに手分けして両方の店の新聞を配ることで対応しています。「私たちも新聞業界が斜陽産業であることを理解しています。しかし今販売店をやっている者は新聞の価値を高く評価しています。だから会社の垣根を越えて、どうしたらこの商売を残していけるかアイデアを出し合って取り組んでいるんです。インターネットの発展やスマホの普及に押されていますが、新聞は一つの出来事に対する様々な主義・主張を見比べることができます。またインターネットは『見たい情報』にアクセスする時には非常に便利ですが、新聞は自分の興味や関心に偏りなく『知っておいた方がいいこと』を網羅的に知ることができます。そういった価値を、まだ新聞を手に取ったことがない層にも伝えていきたいです」と話されました。

 2020年に大学センター試験が大きく変わり、これまでのマークシート形式に加えて、記述式の問題も多く出題されると発表されています。ここで要求されるのは文章を読み解き、それを自分の言葉で表現する能力。これを鍛えるのに向いているのが新聞だと教育界でも注目を集めています。これを追い風にして、新聞をもっと子ども達にとって身近なものにしたい、と酒巻氏は終始朗らかな様子で話されましたが、「自分たちが業界を支えていくんだ」という熱を帯びた思いが伝わる取材となりました。

(事務局 田中)

◆会社概要…所在地:印西市木刈4-2-2 資本金:300万円 従業員数:44名(うちパート・アルバイト37名) 事業内容:新聞販売代理店