【企業訪問記】働きたいという「個」の想いに寄りそう

(特非)1to1 理事長 武井 剛氏(習志野支部)

 船橋市、習志野市を中心に50名程の障がいのある方の就労継続支援(非雇用型)と共同生活援助事業を行っている特定非営利活動法人(NPO法人)1to1。4つの事業所を設け、チラシ配布、便利屋作業(除草・清掃・洗車等)、牛乳配達、内職加工、福祉ショップの運営など多岐にわたる作業を行っています。

 以前は、地域住民や企業からの要望にスピーディーに応えるために事業所や作業内容を次々と増やしていたため、経営計画や財務計画は後回しで、現場への権限移譲も行わず、研修や会議の準備・進行も武井氏が行うなど、すべてトップダウンで進めてきました。

 そんな中2015年に同友会の経営指針成文化セミナー第22期を受講したことで、職員の力を信じ、頼り、共に運営していく必要性を強く感じ、組織を見直し、計画的な経営と財務体質に変えようと取り組んでいます。

 今回訪問した事業所「ぶろっさむ」は京成線の実籾駅から歩いてすぐのところにありますが、10年程前ではこういった事業所は人目を避けるように市街地から離れた場所にあることが多かったと武井氏は話します。しかし、地域住民の理解が進んだことや利用する人(障がい者)にとっての利便性を考えて、街中へ進出するNPOが増えてきました。地域住人の目に直接触れる場所で活動することで、地域、社会へ向けた啓蒙活動にもなり、仕事の依頼にも繋がっています。

 武井氏の起業のきっかけは、28歳まで勤めていた社員700名程のIT企業で働く中で、「自分の仕事の成果に直接触れられる仕事をしてみたい。もっと身近な地域の役に立つ仕事がしたい」との想いが強くなり、福祉作業所に転職し、そこで働くことの実感・悦びを得たことでした。当時の想いは、法人名と経営理念「私たちは、常に『個』の想いに寄り添い、人と人との≪1to1≫のかかわりを大切に育みます」へと成文化され、職員と共有し、実践に邁進しています。

 今回の訪問をとおして、どんな方の中にも必ずある「可能性」を信じ、働ける環境をつくることで、人は力を発揮できることを感じました。これは一般企業での労使関係においても大切な基本的な考えだと思いました。

(事務局 牧本)

◆会社概要…所在地:船橋市前原東3-36-1 資本金:0円(法人設立時の資産811万円) 従業員数:24名(うちパート7名) 事業内容:障がい者と健常者が共に「はたらく場」を運営し、障がい者の社会的自立に寄与する

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